2009/03/07(土)商品撮影の裏ワザ
フィルムの時代に累々と蓄積してきたプロのテクニックで、デジタル写真では必要のなくなったものがかなりあります。いままでプロのカメラマンに頼っていた企業が、自社の従業員に撮影させるケースが増えています。
一番変わったのは照明です。色温度の変換がフィルターワークでなく、カメラ内部で設定できるようになりました。蛍光灯の輝線スペクトルすらキャンセルできます。
それと照明パワーです。デジタルはフィルムのように大光量でなくても写ります。感度を上げてもきれいに撮れるようになりました。室内照明程度の明かりがあれば、商品撮影は可能です。
商品撮影の担い手がプロから素人に替わったことで、写真の質が落ちたように思います。照明機材などの道具の問題ではなく、商品を引き立たせるテクニックが継承されていないからです。
どんな美人でも、化粧をしないと写真写りはよくないといいます。商品も同じで、それなりの「化粧」を施さないと、商品の持つ魅力を引き出すことはできません。商品撮影の基礎的なテクニックは、一朝一夕では身につかないものです。
それと、コマーシャル写真のプロには、長年研究してきた裏ワザがあります。こうしたテクニックは秘中の秘で、オープンにされることはありません。見て盗むしかないわけですが、一般の人が目にする機会はほとんどないでしょうね。
撮影を本業にしているわけではありませんが、幸か不幸かプロの裏ワザに接する機会があったので、さわりの部分だけ、このブログで紹介していきたいと思います。
2009/03/06(金)ネット通販の商品撮影
知り合いの呉服屋では、最近ネット販売に力を入れています。そのために従業員を雇ったというから、かなりのリキの入れようです。
ホームページに載せる商品の写真は、新たに雇った女子社員が担当しています。商品の色が出ない!というので、簡単に撮れる方法を伝授してきました。
今までのやり方を聞いてみると、室内照明のままオートホワイトバランスで撮影している・・と言います。商品の色目でホワイトバランスがコロコロ変わるから、まともな色が出るわけがありません。素人は、こんなもんですね。
日昼は、窓から外光が入ります。直射光ではないものの、窓際では室内照明よりも明るい状態です。
ミックス光源では、正確な発色は望めません。蛍光灯は緑色なんだよ・・と言っても、理解してもらうのは難しいですね。人間は、自分の目で見えないものは信用しません。
ロールカーテンを閉めて、室内照明だけで撮ることにしました。蛍光灯の種類を調べて、ホワイトバランスを固定します。
使っていたカメラは、FinePix S5proです。ネット通販のために買い換えたカメラです。前は「ママの一眼レフ」でした。
S5proには、蛍光灯モードが細かく設定できる機能があります。確か5つでしたかね。使用している蛍光灯と同じモードがありました。
感度をISO400に上げて、テスト撮影です。パソコンの画像ソフトで見てみると、標準反射板のRGBの数値がピッタリ揃っていました。いや、大したもんですね、最新式のカメラは・・・
ロールカーテンが黄色っぽい色で、蛍光灯とほぼ同じ色目だったのが幸いしたようです。
2009/03/05(木)デパートの広告写真
商品撮影を請け負っていた写真屋さんには申し訳ないけど、放っておいても自分で勝手にヘタな写真を撮るだけです。どうせ自前で撮ることになるのなら、きちんとした写真を撮ってほしいと思い協力したまでです。
しかし、1日数時間の講義を受けただけで、きちんとした商品写真が撮れるとは思えません。写真の基礎がないひとに商品撮影を教えるのは、至難のワザです。
撮れても広告チラシ程度まででしょうね。デパートの商品写真と比べれば、月とスッポンです。
デパートの多くは、元を手繰れば呉服屋です。三越は越後屋だし、他の百貨店も呉服屋出身がほとんどです。(高島屋は木綿問屋だそうですが・・)
そんな経歴からか、デパートの着物の写真はリキが入っています。衣桁がけの写真は立派ですね。
プロのカメラマンから聞いた話では、デパートごとに細かい決まりがあるそうです。そこのやり方に慣れたカメラマンでないと、要領がわかりません。
着物の襟は芯を入れて立てるとか、裾は逆台形にピンで止めるとか、細かい指示があるみたいです。松坂屋ならこう・・というふうに、型が決まっていると言います。
デパートに限らず、通販会社などの商品撮影はシビアです。通販は写真が命ですからね。
個人のネットオークションなんかでも、写真の良し悪しで売れ行きが変わります。同じ価格なら写真が良い方が落札されやすいし、写りのよいほうが入札価格が上がる傾向があります。
たかが写真・・されど写真・・ですね。