2008/09/30(火)ストロボを離して使う
毎年、桜の季節になると、満開の桜の木の下でストロボだけ手に持って、移動しながらパカパカ焚いているひとを目にします。
離れたところに三脚で固定したカメラが置いてあり、バルブでシャッターを開けっ放しにしています。夜だから、ストロボを光らせるたびにその部分が露光されます。
ライトアップされた桜だと、電球照明とストロボ光の色温度の違いで、シュールな色彩の写真が撮れます。
ストロボにアンバー系のフィルター(LBA12)をかけて、ライトアップの電球照明と色温度を合わせる方法もあります。
どちらがいいかは、表現意図によります。カメラのホワイトバランスの設定で、自然な感じにもシュールな感じにもできます。設定を変えて撮ることをお奨めします。
風のある日なら、電球照明の部分がブレて、ストロボ照明の部分が静止するので、動きのある表現になります。ブレたり流れたりする表現は、静止した部分があって、はじめて生きます。静と動のコントラストです。
レンズの光軸に対して横からの照明は、花びらに立体感が出ます。カメラ位置から大光量のストロボを焚くよりも、いい写真になることが多いですね。
被写体がカメラと数十メートル離れている場合は、カメラ位置から焚くストロボは、かなり大光量のものが必要です。途中に障害物があると、そちらが目立ってしまいます。
助手がいるなら、やはり被写体のそばまで行って焚くのが一番ですね。
2008/09/29(月)他人のストロボを利用
利用するといっても、ストロボをわざわざ借りてきて、自分のカメラにつけて使うわけではありません。光だけを利用する撮り方です。
報道写真では、よく見られるテクニックです。
例えば、夜間に要人(あるいは犯人)を車に乗せて護送する場面を想像してみてください。車のフロントガラス越しに、後ろの座席に座った要人の顔が、フラッシュでくっきり写っている写真が新聞に載ることがあります。
もし、カメラマンが自分のカメラにストロボをつけていたら、フロントガラスに反射してうまく撮れていないかもしれません。
こういう写真は、手馴れた報道カメラマンが、ノーフラッシュでスローシャッターを切っていると考えられます。
周りにはいっぱい同業のカメラマンがいて、一斉にストロボを焚きます。自分のカメラのシャッターが開いている間に、他のカメラマンのストロボの光が当たれば、バッチリ写る原理です。
ストロボ光は一瞬の光だから、スローシャッターでもブレる心配はありません。ストロボの光をシャッター代わりに利用するわけです。
頭がいいですね。
一体、何分の1のシャッター速度で撮っているかは、「企業秘密」だから公表されることはありません。他人が焚いたストロボ光を利用するので、絞りとISO感度の設定も長年の勘でしょう。
望遠レンズで遠いところから、ちょうど要人の顔が見える一瞬を狙って撮るのは、至難の技だと思います。1面のトップに掲載されるだけの価値はありますね。
こういう視点で新聞を見ていると、この手の写真は頻繁に登場していることがわかります。
自宅でとっている新聞だけでなく、同じニュースを他紙と比べてみると、その場の駆け引きがわかって面白いですよ。
今回は○○新聞の勝ち! なんてね。
2008/09/28(日)ストロボの回転装置
縦位置に構えたときに、ストロボをグルリ90°回転させて、レンズの上に持ってくる装置です。
被写体に落ちる影が常に真下にくるので、目立ちにくいという利点があります。しかし、かなり大掛かりな仕掛けで、重くて邪魔なものでした。影の整理のためだけに使うのは、億劫なパーツです。
一般的な一眼レフは、ペンタプリズムの真上にホットシューが付いているから、横位置ならレンズの真上にストロボがきます。横位置だけで撮れば済む話です。
ニコンF2のように、ボディーの端にホットシューアダプターを取り付ける機種は、いろいろ難がありました。
ニコンの専用ストロボは、横位置にするとカメラの外側に90°倒れる構造になっていました。横位置で撮っても、強い影が被写体の横方向に出ます。
反対側に倒れるようにして、ペンタプリズムの真上にくるようにすればいいのに・・・ フォトミックファインダーの明かり採りなどを塞ぐのを嫌ったんでしょうか?
仕方がないので、左右どちらにも倒れるストロボを探して使いました。レンズの真上とはいかないものの、ペンタプリズムの上に発光部をもってくることができます。確かKakoのAUTO-250SCでしたかね。250Sよりも小型のストロボです。
カメラは全自動化などが進み、ずいぶん便利になりましたが、ストロボをレンズの真上にもってくるという点については、ほとんど進展がありませんでした。
そうこうするうちにデジタル化です。高感度で撮れるデジタル一眼レフができて、ストロボの位置を云々する必要がなくなってしまいましたね。