2008/09/29(月)他人のストロボを利用

 他人のストロボを利用して写真を撮るテクニックがあります。
 利用するといっても、ストロボをわざわざ借りてきて、自分のカメラにつけて使うわけではありません。光だけを利用する撮り方です。

 報道写真では、よく見られるテクニックです。
 例えば、夜間に要人(あるいは犯人)を車に乗せて護送する場面を想像してみてください。車のフロントガラス越しに、後ろの座席に座った要人の顔が、フラッシュでくっきり写っている写真が新聞に載ることがあります。
 もし、カメラマンが自分のカメラにストロボをつけていたら、フロントガラスに反射してうまく撮れていないかもしれません。

 こういう写真は、手馴れた報道カメラマンが、ノーフラッシュでスローシャッターを切っていると考えられます。
 周りにはいっぱい同業のカメラマンがいて、一斉にストロボを焚きます。自分のカメラのシャッターが開いている間に、他のカメラマンのストロボの光が当たれば、バッチリ写る原理です。

 ストロボ光は一瞬の光だから、スローシャッターでもブレる心配はありません。ストロボの光をシャッター代わりに利用するわけです。
 頭がいいですね。

 一体、何分の1のシャッター速度で撮っているかは、「企業秘密」だから公表されることはありません。他人が焚いたストロボ光を利用するので、絞りとISO感度の設定も長年の勘でしょう。
 望遠レンズで遠いところから、ちょうど要人の顔が見える一瞬を狙って撮るのは、至難の技だと思います。1面のトップに掲載されるだけの価値はありますね。

 こういう視点で新聞を見ていると、この手の写真は頻繁に登場していることがわかります。
 自宅でとっている新聞だけでなく、同じニュースを他紙と比べてみると、その場の駆け引きがわかって面白いですよ。
 今回は○○新聞の勝ち! なんてね。
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