2009/04/30(木)カーボン三脚の欠点
もうひとつの欠点・・「価格が高い」ということには触れていませんが・・・
カーボン三脚が出始めのころは、いくつかの問題点がありました。
引き抜きパイプだと、尖った岩にぶつけたときに縦に裂けることがありました。Gitzoはこの方式でした。ベルボンでは、繊維を縦横に何層も重ねて強度を上げていましたが、表面がデコボコしていて、脚の出方がスムーズではありませんでした。脚ロックナットをしっかり緩めないと、ひっかかる感じがして出し入れがうまくいきません。
脚パイプの膨張や変形にも悩まされました。吸水性があるからだという説明でしたが、膨らんで節状になった脚は、仕舞うことさえできませんでした。
いまのカーボン素材は、こうした問題をクリアしています。
三脚メーカーは、長年にわたってアルミメーカーから素材の供給を受けてきました。素材そのものを開発する経験とノウハウがありません。
開発当初は、釣り竿の技術から学んだようで、マミヤOPが一枚噛んでいたのでは?と推察します。いまでは釣り道具から撤退していますが、写真機材の開発に役に立ったのは幸いでした。
ベルボンは、カーボン三脚を発売した当初から、ストーンバッグを本体に同梱していました。最初は「発売記念」として、その後は「限定品」と称してサービス品扱いを続けています。
新しいカタログでも、カーボン三脚の欠点である「軽さ」を補うために、ストーンバッグの説明が何回も登場します。「すべてストーンバッグが標準装備」を謳っているのは立派ですね。必需品ならセットにするのが当然・・という姿勢には共感します。
エレベーターの下に付ける「エンドフック」という部品があります。ストーンバッグが使えないときに、カメラバッグなどをぶら下げて重さを稼ぐフックです。
注意したいのは、ブラブラの状態で使うとブレやすいことです。バッグが地面につく形で肩紐を張って吊下げたほうが安定します。この説明がなかったのは ちょっぴり残念でした。
2009/04/29(水)動画用の三脚
一眼レフは別格として、三脚から遠ざかっていたコンパクトデジカメのユーザーが、市場に戻ってくる可能性が出てきました。
この需要を掘り起こすためには、新しいラインナップが必要です。現行のビデオ用三脚にその役を担わせるのは難しいと思います。一番小型のものでも、コンパクトカメラには大きすぎます。
動画用の三脚は、アイレベルで使えることが命題です。コンパクトに持ち運ぶことと、アイレベルで使えることの両方をクリアするのは容易ではありません。
ベルボンのカタログを見ていて、一番近いのはULTRAシリーズだと思います。対象カメラとして、コンパクトデジカメのほかに小型ビデオカメラも挙げています。
サイズは、ULTRA MAXi Lが縮長360mm/全高1525mm、ULTRA MAXi Mが縮長335mm/全高1385mmです。コンパクトな三脚ですが、アイレベルで使うには十分な高さです。あとは雲台をどうするかですね。ビデオ用のPH-248では、バランスが取れません。
この三脚は変わっていて、細い脚ほど長く伸びます。普通とは逆ですね。
段数が増えるにしたがって、三脚の縮長は長くなります。三脚基部から測ると、1段目の脚よりも2段目の脚のほうが長いはずです。基部の根元までパイプを入れることができれば、細くなるほど長くすることができます。この原理を使っているわけです。(Sharpaシリーズもそうですね)
ULTRAシリーズは、脚の伸ばし方も変わっています。
先端をねじってロックを外し、一気に全段を伸ばすことができます。脚は3本だから、3回繰り返せば全高になります。慣れると数秒でアイレベルにできるのは便利です。
脚を伸ばすのに少しコツが要りますが、カタログにはその方法が、絵解き入りで紹介されています。
ULTRAシリーズの実演で「妙技」を披露していたK氏は、発売後に上海へ転勤してしまいましたが、いまはどうしているでしょうか?
2009/04/28(火)三脚の使い方
2007年版まではなかった三脚の基本的な説明が、4ページも載っています。
いい写真を撮るためには、三脚とカメラはセットだと考えるのが必要だと訴えています。「重い、太い、低いが基本」というのを覚えておこう・・と言います。三脚の基礎知識をわかりやすく解説しています。
メーカーがこうした記事をカタログに載せたのは、販売窓口が家電量販店にシフトしたことと関係がありそうです。
撮影機材の知識に乏しい販売員が増えるなかで、三脚の正しい使い方と選定基準をユーザーに直接訴えようという意図が見てとれます。
登場人物(モデル)が喜多郎風のオッサンというのは、ちょっといただけません。いかにもコマスタのカメラマンという風貌です。
三脚の説明というと、かつてスリックのお抱えだった「伝道師」の先生が頭に浮かびます。ベルボンの発想も似たり寄ったりですね。
一般ユーザーを対象にするのなら、トレッカースタイルの女性を起用したほうがいいように思います。上高地に行くと、大正池のほとりにズラリとカーボン三脚が並んだ光景を目にするはずです。その多くが女性のアマチュアカメラマンです。
メーカーが一番売りたいカーボン三脚の購買層を狙うのなら、ネイチャー派のアマチュア・・しかも女性でしょう。男性が見たら、女に負けてたまるか!と思うだろうし・・・
カタログ最後の裏表紙には、各機種とカメラの適合表が載っています。「コンパクトカメラ・デジタルカメラ」と「ビデオカメラ」が、離れた位置で別の項目に分かれています。
デジカメの動画対応を三脚普及のチャンスと捉えた形になっていないようです。社内的には、そろそろそういう声が出ているだろうから、次のカタログがどう変わるか興味があります。
動画対応デジカメを狙った新製品が出ないことには、話になりませんが・・・