レンズ交換式のミラーレス機の売れ行きが伸びている一方で、レンズ交換ができない高級コンデジに関心が寄せられています。理由は写りの良さです。フィルムに代わる撮像センサーがカメラに内臓されているデジタルカメラは、相性のいいレンズと一体型にするのが、画質の向上を図るのに都合がいいようです。
デジタル式は、レンズの性能のほかに撮像センサーの性能や画像処理エンジンなど、画作りに関するほとんどの要素をカメラ側が負っています。使用するレンズが特定されていれば、それだけ画作りが追い込みやすくなります。
いま注目されている高級コンデジの筆頭は、SONY SX-1 でしょう。撮像センサーがフルサイズであること、カールツァイス 35mm F2 単焦点レンズを搭載していること、推定売価が 25 万円と高額であることなど、話題性には事欠きません。サンプル画像が出回ってきて、その描写力に高い評価の声があがっているようです。
もっとも、あの価格とこれだけ贅沢なスペックで写りが悪かったら、終わってますが・・・
フォーマットサイズは APSC ですが、独特の発色と描写で注目されているのが、シグマの DP シリーズです。同社独自の3層構造センサーを採用しています。フィルムでいうとコダクロームやベルビアみたいな、ねっとりとした濃厚な色のりが特徴です。高感度特性が悪いとの指摘がありますが、コダクローム 25/64 やベルビア 50 だと思えば、腹を立てることではないでしょう。実用感度は ISO 200 以上あります。
少し前の発売になりますが FUJIFILM の X100 も高級コンデジに属します。こちらも APSC で、ミラーレス機の X-Pro1 や X-E1 に先がけて発売されました。光学式と電子式のハイブリッドファインダーが特徴です。
いずれの機種も普及型の一眼レフがセットレンズ付きで優に買える価格です。ちょっと高い気がしますが、高級コンデジの適正価格はどのくらいなんでしょうか?
フィルム式の高級コンパクトカメラは、実売価格で 10 万円前後していました。撮像センサーや画像処理エンジンがない代わりに、フィルムを巻き上げる小型の特殊モーターを内臓していたし、見え味のいい光学式ファインダーも必須です。フィルムサイズはすべてフルサイズだったので、レンズ設計の難しさでは APSC フォーマットの比ではありませんでした。
レンズのコストを考えると、高級コンデジはちょっと割高な気がしないでもありません。画質重視の一部アドアマ層を対象にしている点は同じだから、似たような価格帯になるのかもしれませんが・・・