2011/09/24(土)アオリのできるベローズ

 セミ判程度のデジタルバックをシノゴのビューカメラにつけるのは、アオリが使いたいからです。フォーマットサイズが小さいので、使うレンズは大判用ではなくて中判用になります。
 「酸化セリウム」の先生は、レンズボードを自作して、GX680 用のレンズを使っています。中判一眼レフのレンズだから、バックフォーカスが長いのが特徴です。

 デジタルで撮影する場合は、中判用のビューカメラのほうが使い勝手がいいように思います。シノゴはオーバースペックです。最近デジタル用に供給されているビューカメラは、みな小ぶりです。
 フィルム時代でもゴシチのバックでシノゴを使う人がいました。特にデジタルの場合は、蛇腹が広い方が内面反射が少なくていいかもしれませんが・・・

 昔、ブロニカ S2 を使っていたときにアオリのできるベローズを買いました。無限遠では蛇腹の繰り出しがなくアオリができないので、マクロ撮影以外に使う機会はありませんでした。
 バックフォーカスの長いレンズがあればよかったのですが、S2 はミラーボックスのある一眼レフだから、どうしても望遠系になります。望遠でアオリを使うことは稀です。

 知り合いのカメラマンが独立するときに、一式まとめて安く譲りました。ずいぶん昔の話だから、彼の手元にはもうないと思います。ベローズだけでも残していれば、デジタル撮影に使えたと思います。

 普通の人が中判のデジタルバックを使うことはないでしょう。やるとすればデジイチのボディーの流用です。撮像センサーは、アオリを使う前提で作られていないので、あまり強くティルトやスイングをかけると、写らない場合があります。斜めからの光に弱いからです。
 アオリを使うとしたらシフトでしょうね。イメージサークルの大きなレンズなら使えるはずです。

2011/09/23(金)大判カメラは今が買いどき?

 写真のデジタル化で、銀塩カメラの中古相場はダラ安です。中判カメラは売っても二束三文です。写真館でよく使われたマミヤ RB シリーズは、いくら安くても買い手がつかないそうです。
 同じマミヤでも RZⅡ 以降はデジタルバックがつけられるから、まだいくらかにはなるみたいですが・・・

 まだ使い道があるはずの大判カメラもずいぶん安くなりました。カメラの原理を学ぶのに1台くらいは持っていてもいいように思います。アオリの勉強になるし、その気になればデジタルバックも使えます。余分なお金があれば・・ですが・・・

 「酸化セリウム」の先生は、リンホフカルダンLを買い増ししています。ネットオークションで安く手に入れたそうです。長年愛用のエボニーがあるし、ジナーSもありますが、昔カルダンBを使っていたころに、こちらが欲しかったんでしょうね。
 前後のフレームを寄せても隙間が開くので、焦点距離の短いレンズが使えないと言っていました。フォーマットサイズの小さいデジタルバックには不向きです。

 ジナーSは繊細なので、粗忽な御曹司には使わせたくないみたいです。そんなことから、私のジナーPを貸すことにしました。こちらは手で叩いたくらいでは壊れません。角ばったカドで怪我するのがオチです。
 御曹司は、デジタルバックを使うのに便利だと喜んでいました。どうせアルミケースに仕舞ったままだから、有効に活用してもらえれば幸いです。

 最近になって、カルダンLを手放してもいい口ぶりです。さすがの先生もデジタルで使えないビューカメラには、魅力を感じなくなったみたいです。
 フィルムで撮るならバイテン(8x10 インチ)とか言ってたから、次に買うのはジナーの 8x10 バックになりそうです。こちらはまだ結構します。

2011/09/22(木)空中像でゴミをチェック

 大判カメラのピントグラスは擦りガラスだから、あまり細かいところまでは見えません。画面上にアラがあるかどうかは、被写体を直接肉眼で確認することになります。
 ところが、肉眼には個体差があって、目で見えてなくても写真に写ることがあります。デジタル写真なら、撮った後でピクセル等倍に拡大して、モニター上でチェックすることができますが・・・

 大判カメラの場合は、一旦ピントグラスを外し、ルーペで空中像を見ながらチェックする方法が有効です。撮影レンズが対物レンズ、ルーペが接眼レンズの役割を果たします。
 望遠鏡で拡大して見ているのと同じで、肉眼で見えない細かいところまでチェックできます。ルーペで覗く角度を変えれば、画面の隅々まで見えます。ただしピントグラスと同様、倒立像です。天体望遠鏡と同じ原理だからです。

 この方法は、「酸化セリウム」の先生から教わりました。ブツ撮りのときに使うテクニックです。料理の集合写真だと、片隅のグラスについたホコリや指紋まで、鮮明に見えるそうです。ご飯に立体感がないときは、竹串を箸代わりに米を一粒ずつ立てていったというから、半端じゃないですね。
 フィルム時代は、原板をレタッチするのは大変でした。完全原稿にするために、細心の注意を払ったと言います。

 細心の注意を払って被写体をチェックしても、フィルムにゴミがついていたらアウトです。カットホルダーにフィルムを詰める作業は神経を使います。
 カットフィルムの装填は暗室で行います。引き蓋でフィルムを扇いでから閉める癖は、先生の最後の「おまじない」ですね。

 シャッターを切る前に解決できる問題はすべて解決しておく・・それがプロの仕事だ、というのが先生の口癖です。デジタルになっても基本は同じだとか・・・
 デジタル写真は、後から画像処理でと考えがちですが、それは間違いだそうです。画像処理でしかできないことは仕方ないとしても、撮影段階でできることは、きちんとやっておかないと、自分が請け負った意味がないという考え方です。偉いですね。
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