2011/12/25(日)ストロボの閃光管

 先日「酸化セリウム」の先生のところに、年末の挨拶を兼ねておじゃましました。ちょうど照明の話になり、いろいろ意見を聞かせてもらいました。
 写真電球がなくなっても、ムービー用のライトはしばらく残るだろうとの観測です。ソフトグローブを併用すればスチール写真にも使えるとの話でした。ただし、ハロゲンランプにスライダックはご法度だそうです。

 この前、ストロボの閃光管を交換したとのこと。ずいぶん長いこと使っているのと、色温度が 5000 ケルビンを下回るようになったのがきっかけです。ディフューザーやソフトボックスを使うと 4700K 前後まで落ちるそうで、それではちょっとまずいと言ってました。5000K 以上欲しい思うのは、誰しも同じですね。

 先生ご愛用のストロボヘッドは、一般的なオーム管ではなく、前に突き出た U 字形の閃光管です。テーブルトップの商品撮影は、これでないといけないんだとか・・・
 クセノン閃光管は、光る場所は1点だけだと先生は言います。しかもその場所は一定ではなく毎回変わるそうです。もし疑うなら、ND400 みたいな濃いフィルターをかけて、閃光管を直接撮影してみばわかると言ってました。
 オーム形の閃光管は、光る場所がその都度変わるので、影の位置が安定しないんだそうです。小さい被写体だと影響が大きくなります。

 その点、U 字形の閃光管は、光る場所が前後するだけで、被写体から見るとほぼ同じ位置で光っているように見えます。テストと本番で、影の出方が変わることがないわけです。
 ここまでこだわる人は、プロでも少ないでしょうね。

 テーブルトップのブツ撮りは、写真用レフランプをよく使っていましたが、ガラス食器のような光を透過する被写体は、ストロボのほうが相性がいいそうです。
 陶器や漆器はレフランプ。グラスはストロボがよろしいようで・・・

2011/12/24(土)紫外線は厄介者?

 赤外線で撮影した写真は、目で見た風景とは違う感動と驚きがあります。青空がグッと落ち込み、逆に木々の葉っぱは白く輝きます。ハイコントラストでシュールな独特の世界です。
 その一方、紫外線で撮影した風景写真は、目にした記憶がほとんどありません。画にあまり変化がないのか、撮影技術が難しいのか? きっと面白くもなんともないんでしょうね。

 紫外線で撮影して違いが出るのは、花や蝶などマクロレンズの領域です。虫は紫外線を感じるそうです。紫外線で花を撮影すると、虫にしか見えない模様が現れます。密のある場所を知らせるためと考えられています。
 どちらかというと、学術的かつマニアックな世界で、栗林慧氏が撮影した、超広角マクロの虫ほどの驚きはなさそうです。

 普通の風景写真では、紫外線は邪魔で余分な光です。遠景が白っぽくなるからです。晴天下では UV カットフィルターなどで除去したほうがいいでしょう。
 いまどきの撮影機材は、紫外線を通しにくくなっています。ズームレンズはレンズ枚数が多いし、コーティングでも除去されます。ストロボのプロテクターも UV カットになっています。紫外線写真を撮るためには、特殊設計のレンズや専用ストロボ、それと UV だけ透過する特殊フィルターが必要です。

 紫外線は日焼けを引き起こし、場合によっては視力障害や皮膚癌の原因になる有害光線です。地球の大気は太陽からの強い紫外線をほどよくカットしてくれます。一般的な写真撮影には余分な光で、ないに越したことはありません。
 では、実生活で紫外線はゼロでいいかというと、そうではないそうです。ビタミン D は紫外線がないと活性化されず、骨の形成に影響を及ぼすことが知られています。たまには日光浴も必要なんですね。

2011/12/23(金)赤外線の透視効果は?

 赤外線写真は学術調査にも使われています。肉眼では見えない文字や紋様が、赤外線で撮ると現れることがあります。X 線と同様に、物体を透視する魔法の光だと思われているようですが、実際にはちょっと違います。

 光の波長を長くしていくと、700nm あたりから人間の眼は光を色として感じなくなります。2500nm までを近赤外線と言っていますが、写真撮影に使われるのは 1000nm 以下の波長域です。
 近赤外線の一部は皮膚の下まで透過すると言われています。薄い布くらいは透過する性質を悪用して、盗撮目的で使われたこともありました。そんなことから最近の水着は赤外線を透過しない素材もあるそうです。

 透視効果を出すには、赤外線だけで撮影するのが基本です。IR フィルターで赤外線以外の光をカットします。フィルターは赤黒い色か、ほとんど黒に近い濃いものです。色彩がない世界だから普通はモノクロ画像になります。
 被写体は眼で見えないし、ピントも露出も山勘です。こんな苦労をしてまで盗撮をするのは、よほどの好き者ですね。

 この問題が起きたころ、赤外線フィルターを製造しているメーカーにも問合せがちょくちょくあったそうです。担当部署の M 嬢は、最初の頃は丁寧に応対していましたが、そのうち盗撮目的が多いと知ると、逆質問したりして相手を困らせたとか・・・
 「どういう目的でお使いになるの?」・・いいストレス解消になったみたいです。

 近赤外線よりも波長の長い遠赤外線は、もっと透過力があるように思いがちですが、実際には違います。暖房器具の宣伝で「遠赤外線だから体の奥から暖まる」というのは、どうやら間違った表現のようですね。
 遠赤外線は、皮膚層に達するとすぐに熱エネルギーに変わります。別名を熱線というくらいだから、暖まるのは事実ですが、「体の奥から」ではないわけです。
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