高演色のLEDスポット2011/12/16(金)

 電球形の LED ライトではありませんが、今年になってウシオライティングから、自然光 LED スポットライト(Cool Spot LED)が発売されています。平均演色評価数は Ra97 です。

 メーカーサイトの分光分布比較には、奥から太陽光、自然光 LED 、白色 LED が立体表示されています。手前の白色 LED は、分光分布が例のネッシー形です。それに比べて自然光 LED は、各波長域を含み太陽光に近いのがわかります。
 前回紹介した CCS の電球形自然光 LED ランプとよく似た分光分布です。400nm あたりに小さなピークがあるのと、650nm を過ぎると直線的に落ちていくのが、自然光 LED の特徴みたいです。この比較表、どこかで見たような・・・

 メーカーの説明では、「18個のLEDを最適配置したことで、きれいな配光を実現」とあるほか、「フリップチップ実装した紫LEDと、赤、緑、青の蛍光体を組み合わせ」とあるので、三原色 LED で白色光にしているわけではないようです。
 続けて「なお、自然光 LED は、シーシーエス株式会社のオリジナル LED です」とありました。やはり CCS でしたか。LED 電球をバラさなくても、自然光 LED の仕組みが見えてきました。

 主な用途は、「ホテルやホール、施設のバンケット・ウエディング会場、店舗、ショールーム、商業施設など」となっていました。天吊り型のスポットライトなので、用途先は限られますが、ライティングダクトのある店舗なら使えそうです。

 メーカーサイトに出ていた照射イメージ写真は、披露宴会場の高砂席でした。灯数は5灯。ほどよく光が回っています。このライトにしてくれたら、カメラマンは楽でしょうね。
 ほかのサイトで価格を調べたら、1灯あたり5万円前後となっていました。初年度の目標は 400 台というから、そんなにたくさん売れる製品ではないようです。

電球形のLEDライト2011/12/15(木)

 直管の蛍光灯を LED 照明にするメリットは、現時点ではあまりなさそうですが、電球形の LED ランプはどうでしょうか?
 家庭での使用では、対応器具に汎用性があるので、20W 直管の AAA 蛍光灯よりも取り扱いが簡単です。

 調べた範囲では、演色性の点での優位性はなさそうです。一般市販品の平均演色評価数は Ra70 台です。三波長の電球形蛍光灯(Ra84)よりも劣ります。
 青色 LED に黄色蛍光体を組み合わせた白色 LED は、分光分布図を見るとネッシーみたいな形をしています。450nm あたりのピークが首で、570nm を頂点とした小山が胴体です。見た目は白でも青み成分が強く、赤みが欠けているのがわかります。

 黄色蛍光体のほかに赤色蛍光体を加えるとか、三原色の LED を組み合わせて白色にするなど、様々な試みがされています。なかなかフルスペクトルにはならないみたいですね。

 そんな中で Ra97 以上を達成した電球形 LED があります。CCS (本社・京都)から出ている自然光タイプです。色温度は 5000K。美術館向けに 4000K も受注生産するそうです。
 分光分布図を見てみると、400nm あたりに低めのピークがあるほかは、なだらかな曲線になっています。620nm から 700nm にかけて直線的に落ちているので、赤み成分はやや少ない感じです。

 どういう仕組みで高演色性を確保したのか、詳しい説明はありませんでした。少なくとも青色ダイオードと黄色蛍光体を単純に組み合わせたものでないことは想像できます。
 1個買ってバラしてみればわかるかもしれません。 いくらくらいするのか調べたら、約9千円でした。同じエジソンベース(E26)で 100W 相当の一般品と比べて約2倍のお値段です。
 これを高いとみるか、それとも安いとみるか・・・ (安くはないわね)

LEDのデスクスタンド2011/12/14(水)

 省エネや節電で LED ライトへの関心が高まっています。直管形の蛍光灯は灯具や電源の変更を伴うため、すぐには普及しないでしょう。LED は直流電源です。
 そのまま使えるのを謳い文句にしているタイプもありますが、電気代が安い代わりに製品価格は高めです。

 発光ダイオードは光の直進性が強いため照射角が狭く、蛍光管の中に一直線に並べただけでは、蛍光灯のような広がりのある照明にはなりません。面光源よりもスポットライトや懐中電灯などに向いています。電球形の製品化には、この点でかなり苦労したみたいです。

 事務所全体の蛍光灯照明を減らして、各デスクに小型の LED ライトを追加した企業がありました。オフィスならすべて LED に替えるよりもこのほうが賢明な省エネ術です。
 省エネのほかに「目に優しい」を売り文句にしたデスクスタンドが出回っています。こういう用途には向いている光源です。「自然光に近い」と言うだけで、なぜ目に優しいのか、科学的な根拠を明らかにしている製品が少ないのが気になりますが・・・

 パナソニックから今年発売されたデスクライト SQ-LD500 は、色温度 5000K、Ra90 となっていました。蛍光灯の AA 管並みのスペックです。しかも光源寿命は4万時間。「ランプ交換不要」となっています。通常の使用なら 10 年以上は持つでしょう。

 眼に負担が掛かる作業場の照明は、自然光に近いフルスペクトルのものが最適です。色温度だけでなく、太陽光に近い分光分布のものが理想です。
 とくにデスクライトは、こうした自然光に近いことを売り文句にする製品が増えると思います。

 「自然光 LED」は、デスクトップの小物の撮影に使えそうです。光源の面積が小さいので、トレーシングペーパーを使って上方からの面光源にします。トレペは発砲パネルや針金の枠に張り、紐で灯具から吊下げられるよう加工しておけば、いつでもすぐにセットできます。
 あとは前方から光を起こすレフ板を用意すれば立体物でも撮れます。レフ板は発砲スチロールが色の濁りがなくお奨めです。
OK キャンセル 確認 その他