2008/07/13(日)期限切れのフィルム

 期限切れのフィルムでも使い道がある・・というひとの大半は、ヘタリかけたネガ現機の現像液を甦生させるために捨て流すことを考えていると思います。新品のフィルムを現像して母液を回転させる方法です。
 そのくらい最近のフィルム現像本数は減っています。

 新品といっても、未露光のフィルムでは意味がありません。手動で補充液を足すのと同じです。露光済みのフィルムを実際に現像することに意味があります。
 カメラにフィルムを詰めて、いちいち撮影するのは面倒だと、ベロを少し引き出して感光させる方法もあります。ただし、この方法だと悪いクセがついて、お客さんから預かったフィルムまでうっかり被らせてしまう危険があります。
 捨て流しは1本や2本では済まないので、悪いクセがつかないようにしないとね。

 「酸化セリウム」の先生は、期限切れのフィルムを大切にしています。「飼っている」といったほうがいいのかもしれません。
 モノクロフィルムなら、現像液の配合や時間を変えて感度やコントラストをコントロールできるので、期限切れでも十分使えます。
 カラーフィルムは、乳剤各層がバラバラに経年変化するので、カラーバランスが崩れてしまいます。まともな写真には使えません。それでも捨てずに、大事に冷蔵庫に保管しています。

 そんなフィルムを持っていて、一体何に使うんでしょう?
 プロの仕事には普通のやり方では撮れない特殊な依頼があります。鉄のテクスチャーを極限まで描写したいとか、外光と蛍光灯のミックス光源下で一発で撮りたいとか、いろんな仕事が舞い込みます。
 そんなときに活躍するのが、期限切れのフィルムです。エマルジョンのバランスがどのくらいズレているのかを考えて、まともなフィルムでは撮れない描写を引き出すわけです。

 ベルビアの何年もの・・なんちゃって、ウイスキーやワインみたいな言い方ですね。

2008/07/12(土)ローライ赤外フィルム

 カメラの名門ローライからモノクロフィルムが発売されています。
 もともとヨーロッパは、モノクロームの写真が盛んな土壌です。カメラメーカーがモノクロフィルムを出しても違和感はありません。

 このブログによく登場する「酸化セリウム」の先生は、以前はコニカのモノクロ赤外フィルムを愛用していました。ブローニーサイズです。
 数年前に製造中止になり、ガッカリしてましたが、ローライからINFRAREDというモノクロフィルムが供給されたので、ひと安心です。問題は価格だけどね。

 ブローニーの12本入りが、税別で21,500円します。税込だと1本あたり1,800円以上です。ロゴ入りの立派な木のケースに入っていて、まるで高級葉巻みたいです。(箱いらないから安くして!)
ローライ・モノクロフィルムはコチラを参照

 いずれカラーフィルムも木箱入りでこんな価格になるんですかね。まったく手に入らないよりかはマシですが・・・
 そうなったら、昔の中国のカメラマンじゃないけど、最良のシャッターチャンスがくるまでなかなかシャッターを切らない・・なんてことになるかもしれません。何十年か前の中国では、カラーフィルムは一般大衆が買える価格じゃなかったですからね。
 価格以前に、外国の観光客が出入りするところにしかカラーフィルムは置いてありませんでした。隔世の感があります。

 あまり大事に使っていると、そのうち有効期限が切れてしまいます。モノクロフィルムは、現像である程度カバーできますが、カラーフィルムはカラーバランスが崩れてしまうので、融通がききません。
 それはそれで使い道がある・・というひともいるけどね。

2008/07/11(金)ブローニーのコスト

 銀塩フィルムの製造がいつまで続くのか不安な時代になりました。需要がなければ供給もストップです。値上げになっても供給が続いてくれることを祈るしかありません。

 市販フィルムのなかで、面積の割にブローニーは割安でした。反面、メーカーの側からすると、一番製造コストが高いフィルムのようです。
 とくに120は、遮光の裏紙が必要なので、材料が余分に要るし製造工程も複雑です。一番楽なのは、シノゴ判などのシートフィルムですかね。切るだけです。

 コマーシャルフォトの世界では、ブローニーの需要は極端に減りました。もともと135サイズはほとんど使われていなかったので、ブローニーがデジタル化の波をモロに被った形です。
 シノゴ判以上のシートフィルムは、まだ需要が残っています。デジタルで同等の高画質を求めるのは、かなり高額の設備投資が必要だからです。シノゴ判での撮影は、まだ料金が取れるしね。

 写真館の世界では、ブローニーはまだ健在です。撮影原板をお客に渡さないのが原則なので、プリントの品質が一定以上であれば、シノゴ判を使うメリットはありません。サイズダウンが進んでブローニーが主流になりました。

 ところが、ここへきてデジタル化の波が押し寄せています。全国ネットの子供写真館では、オールデジタル化を進めています。
 もともと135サイズでもよかったレベルの撮影内容だから、見栄を張ってブローニーを使う必要はなかったのかもしれませんが・・・

 台紙貼りの写真よりもデザインアルバム(写真集)に人気があることも、デジタル化に拍車をかけているようです。
 デジタル化と同時に内製化が進みました。ア○スもマ○オも印刷の出力センターを自前で用意しています。メーカー直営のラボが干上がるわけですね。
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