2011/12/13(火)LED蛍光灯は「買い」か?

 演色性とかフルスペクトルとか気にして調べてみると、一口に蛍光灯と言ってもいろんな種類があるのがわかります。写真撮影や色検定に使うなら、バイタライト(旧トルーライト)や AAA 蛍光灯が向いているという話をしました。
 では、最近話題になっている LED 蛍光灯はどうでしょうか?

 LED 蛍光灯にもいろんな種類があります。分光特性を云々する前に、電源の問題があるからです。LED 照明は、交流ではなく直流電源を使います。AC100V を直流に変換しないといけません。ということは、照明器具から換える必要があるのでは?

 従来の灯具のまま使えるタイプは、管の中に DC 変換回路が組み込まれています。蛍光管の重量が増すのと、コストが高くつくのが難点です。きちんとした規格がないので、粗悪品が問題になったこともありました。
 DC 電源を別に用意するのが有利なようですが、これにもいくつか方式があります。

 盗難防止のために、表から LED ライトとわからないよう工夫しているのをウリにしている製品もあります。1本1万円前後するから、盗む輩がいるかもしれませんね。

 LED 蛍光灯に替えるメリットは、消費電力が少ないのと寿命が長いことです。CO2 の排出量を減らせるとか、発熱が少ないので冷房効率が上げられるとも言われています。要するに ECO がウリ文句です。
 電気使用量が大きく、社会的な体面を重視する大企業なら検討する価値はあるでしょうが、小規模な事業所では切り替えるメリットは少ないかもしれません。LED 蛍光灯はまだ高価です。

 発光ダイオードを使った蛍光灯が写真関係に有利というデータは、いまのところ見当たりません。まだ「買い」ではないようですね。

2011/12/12(月)AAA蛍光灯の用途

 太陽光に近いとされる高演色性の AAA 蛍光灯は、写真や印刷関係の色評価に使われています。一般用の蛍光灯と比べてみると、確かに違いがわかります。
 日立のカタログに、主な用途が載っていました。

 印刷物などの色検査、写真店、博物館・美術館、店舗の高級品陳列コーナー、呉服店、画廊・美術店、病院の診療室。

 実際にこれらの業種の多くが使用しているかというと、そうでもないみたいです。理由のひとつは、直管の 40W と 20W しかないことです。
 例えば、「高級品陳列コーナー」の照明器具が、事務所と同じ直管タイプの店は少ないはずです。店舗では、使いたくても照明器具の規格が合わないケースが多いのでは?

 蛍光灯のカタログをペラペラめくって、表示されている分光分布図を見ていると、可視光域すべてにわたって光が分布しているタイプが少ないのがわかります。
 見た目は白色でも、含まれない波長域があるわけです。三波長タイプは、三原色部分に大きな山はありますが、あとの波長域は山が低くなっています。
 AAA 管のようなフルスペクトルライトは、ほんの一部だけです。

 AAA 管ほどではありませんが、演色性の高い蛍光灯に AA 管があります。平均演色評価数は Ra90~93。AAA 管の Ra99 には及びませんが、かなり太陽光に近い光源です。
 日立のカタログに載っていた主な用途は・・・
 演色性の良さが要求される色彩関係の作業場、生花店、生鮮食料品店。

 仕事に色評価が必要な事務所や作業場は、三波長よりも AA 管のほうがよさそうです。日立のカタログでは、三波長タイプは Ra84、AA 管は Ra93 になっていました。
 AA 管のメーカー希望小売価格は、三波長と同程度です。まとまった本数が必要な場所なら、こちらを検討してみる価値はあるでしょう。

2011/12/11(日)写真が趣味ならAAA管

 蛍光灯にはいろんな種類があります。形が合っていれば何でもいいという人もいますが、白色系か電灯色かくらいは意識していると思います。買ってきたあとで、「なんか黄色っぽい」という人もたまにいますが・・・ (うちの家内か?)

 写真が趣味の人は、蛍光灯は色評価用の AAA (スリーエー)管がお奨めです。私も事務所の照明は AAA 管を使っています。ただし、サークル形はありません。40W と 20W の直管だけです。
 家庭内での使用だと、20W 形の蛍光灯スタンドになると思います。写真の色検定だけでなく、ちょっとした小物の撮影にも利用できます。器具のほとんどはデスク用です。ダボを付けてライトスタンドに取付けられるように加工しておくといいでしょう。

 国内で入手しやすいのは、パナソニック・日立・東芝ライテック・三菱オスラムなどです。昼白色(N-EDL)と電球色(L-EDL)があります。写真の色評価に使うのは昼白色で、色温度は 5000 ケルビンです。
 街の電器店や家電量販店の店頭には、まず置いてないと思います。通販サイトを見たら千円以下で売られていました。
 20W 管はスタータ形のみですが、40W 管にはラピッドスタート形もあるので灯具を確認しておきます。

 パナソニック N-EDL の分光分布図を見ると、400~440nm と 550nm あたりに輝線スペクトルがあります。東芝のほうも似たような分布図です。若干ですが写真に青緑色が載るのは、このせいです。眼には感じません。

 一般タイプの昼白色蛍光灯だと、フィルムでもデジタルでもかなり緑っぽい発色になります。フィルター補正するかホワイトバランスを直すかしても、きちんと再現できない色があるので写真には不利な照明です。
 AAA 蛍光灯はフルスペクトルなので、とくにシビアな撮影でない限り問題なく使えます。

 美術館や博物館は、紫外線をカットした光源を使います。東芝ライテックや三菱オスラム製で末尾に NU の記号がついたタイプがそれです。分光分布図を比べてみると、400nm あたりの輝線スペクトルが、かなり抑えられているのがわかります。こちらのほうが写真向きですね。
 日立はすべて NU タイプのようですが、ラピッドスタート形(40W 管)のみ供給しているメーカーもあります。20W 管で紫外線カットタイプにしたいなら、購入前にチェックしておいたほうがいいでしょう。
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