2009/01/07(水)複写用の貼付ボード
なかには売れずにデッドストックになっているものもありました。スコッチの「ポストイット」という粘着テープもそのひとつです。
特殊な糊を使ったテープで、紙を何度でも付け剥がすことができます。ロールテープと、A3判くらいのシートの2種類がありました。シートのほうは、複写の仕事をしている写真屋に案内したら、皆さん欲しいと言います。紹介して在庫の大半を売り切りました。
後で追加の要望がきましたが、すでに売り切れでした。外資系の会社は、発注単位が大きくなるほど仕切が安くなるシステムを採用しています。少しばかりでは、価格が合わない・・とのことでした。
地元の注文を取りまとめて、「鶴見商事」が頭になって仕入をしていたようです。なかなかやり手ですね。大量発注するかわりに、デッドストックを抱えるリスクもあるわけです。それが「ポストイット」でした。
こうした処分品は他にもありました。フランス製のcokinフィルターは、フルセットで売りに出ていました。金属製のフィルターラックに、80枚ほどのスクウェアタイプが各1種類ギッシリ入っています。バラ売りはしないとか・・・
いまのタイプと違って、66x72mmの旧モデルです。フィルターホルダーの数がないから、バラ売りできないんだそうです。思わずゲットしてしまいました。何枚か使えれば、元は取れます。
知り合いのアマチュア写真家に話したら、「自分も欲しい」といいます。しばらくは喜んで使っていたようですが、すぐに飽きてひとに譲ったとか・・・
素人にはもてあますシロモノだったかもしれませんね。
2009/01/06(火)プロフォートの形見
そのひとつは、135のスライド原板からプリントする機械です。マウントされた原板をセットしてスイッチを押すと、ストロボが発光して、インスタントフィルムに露光されます。ピールアパートタイプのFP-100Cを使えば、その場でカラープリントが手に入ります。
いまどきFPフィルムを使っているひとはないし、コストが高いから実用性はないですね。鶴さんからデモ機としてもらったものですが、捨てるのはもったいないので、「酸化セリウム」の先生に進呈しました。「ブローニーからはできんのか?」とか言ってましたね。使うつもりだったみたいです。
双眼鏡も出てきました。カールツァイスの双眼鏡です。
ツァイスといっても、東ドイツのカールツァイス・イエナ製です。本皮のハードケースに入っていて、「いかにも・・」という風貌をしています。
ポロプリズムのZCFタイプで、8x30というスタンダードなスペックです。瞳径を見るとまん丸に見えているから、プリズムの大きさは十分にあるようです。市販の普及品は、瞳径にかげりがあるものがほとんどですが、手抜きはしてないみたいですね。
東ドイツ製の双眼鏡は、軍事目的で作られているから高性能・・というのが、鶴さんの売り文句でした。イエナといえどもツァイスのブランド力もあります。
それでもカメラと違って、双眼鏡は難しかったようです。モノを見て、「なかなかいいですね」と誉めたら、「わかってくれるのはアンタくらいだ」と、ご機嫌でした。
バナナの叩き売りじゃないけど、買った値段は安かったですね。「エイ!もってけ!」みたいな売り方でした。かなりたくさん仕入れたようで、事務所に来るひとに片っ端から勧めてました。
買ったひとは、お得な買い物だったと思います。
2009/01/05(月)プロ機材の「メッカ」
日プロは倒産して、もう会社自体はありません。
往時の名古屋支店長だった鶴見氏は、業界では名の知れた人物で、名古屋支店は別名「鶴見商事」とさえ言われていました。最後は社長を務めましたが、「さすがの鶴さんもあの状態で渡されたのでは・・」と、擁護する声をよく聞きました。
この鶴さん、どっこい「プロフォート名古屋」という名で、まだ商売をしています。プロ相手の卸売はやめてしまいましたが、カメラ愛好家を対象にプロ機材やクラシックカメラを販売する、隠れ家的ショップを経営しています。業界人のみならず、アドアマにも顔が広い人でした。
用事がないので、しばらく顔を出していません。今度リサイクルショップに行ったときにでも、立ち寄ろうかと思っています。懐かしいですね。
実は、私も「鶴見商事」のメンバーでした。日プロの社員ではなかったのですが、新しい機材が入荷すると、鶴さんから「これ売ってや!」と声が掛かります。
「あんたに売りつけようなんて思わへん、紹介してくれたらいいのや!」とか言われて、知り合いのプロの連中に案内するなど、ずいぶん協力しました。
販売に関しては、鶴さんは「商売の神様」みたいな人でした。カリスマ的存在です。
「酸化セリウム」の先生も、「鶴さんのところに行くと、買う気がないのに事務所を出るときには何か手に持っている」と、その商才に感服していました。何でオレはこの機材を手に持っているんだろう?と、いつもキツネにつままれたような気分だったそうです。
「今度、鶴さんのところへ行くときには声を掛けてくれ」と言われています。久しぶりに雁首揃えて、顔を出しますかね。