2009/02/04(水)フィルムの使い分け

 リバーサルフィルムを使っていたアマチュア写真家の大半は、デジタルカメラに乗り換えたようです。いまでもフィルムを愛用しているひとは少数派です。

 アマチュアは、写真でお金を稼ぐわけではないから、フィルム代と現像料が要らないデジタルは、財布にやさしいシステムです。(なかには「賞金稼ぎ」もいますが・・・)
 フィルム式のカメラを売り払ってしまい、手元に残っていない・・というひともいると思います。デジタル一眼レフは高いですからね。

 銀塩全盛時代にリバーサルを使っていたアマチュアで、フィルムの種類を使い分けていたひとは、あまりいなかったように思います。ベルビアとプロビアの使い分けは、ISO感度の違い・・くらいにしか考えていないひともいました。
 ISO50のベルビア愛好者のなかには、それしか使わない「信者」がいて、どんな被写体でもVelvia50一本でした。何の変哲もない風景が「作品」に変わる魔法のフィルムです。

 上高地の風景写真を見ていて、「ベルビアにPLフィルターですね」と言ったら、「えっ!なんでわかるんですか?」と驚くひとがいました。
 標高1500mの高地でPLを目一杯かけたら、青空ではなくて宇宙の色です。色乗りの濃い独特の発色は、コダクローム以外ではベルビアしかありません。外式カプラーのコダクロームは、ベルビアの台頭で駆逐されてしまいました。(アメリカで現像じゃぁね)

 写真仲間の間では、ネガを使っていたのでは格好がつかない・・という雰囲気がありました。いまなら、フィルムを使っていては格好がつかない・・ということでしょうか?
 ハイエンドなデジタル一眼レフが、アマチュア写真家のステータスとなっています。いつの時代も高級機は憧れの的ですね。

 デジタルに乗り換えた写真愛好家を揶揄しても仕方がありません。写真を楽しむことが第一義で、機材や材料は何を使おうが自由です。
 ベルビアにPLフィルターかけっぱなしだったあの「信者」は、いまごろどうしているでしょうか?

2009/02/03(火)ポジフィルムに近いデジタル写真

 銀塩素材で撮影する機会が少なくなりました。ちょっとした撮影は、デジタルで済ますことが多いですね。撮影結果がその場で確認できるというのは便利です。

 これからは、フィルムに関する知識がなくても支障はないかもしれませんが、知っていたほうが写真の基礎を会得するためには有効です。
 フィルムには大きく分けて、ネガとポジ(リバーサル)があります。家庭での記録写真や写真館の記念写真には、ネガが使われます。商品撮影や作品志向の写真にはポジが向いています。

 ネガは白黒と色相が反転しています。明るい(白い)ものはフィルム上では黒く写ります。赤いチューリップは、ネガでは緑色ですね。
 光が足りないシャドー部は、画像情報が乏しいので、きちんとした描写がされません。逆に明るいハイライトは、プリント濃度を上げることで、ある程度ディティールを再現すことができます。
 ネガは、露光オーバーに強く、アンダーに弱い性格を持っています。

 ポジは、原板自体が陽画なので、プリントしなくても写っている内容を確認できます。シャドー部は、プリント時に濃度を上げれば、ある程度再現することができます。ハイライト部は、真っ白になっていたら再現できません。画像の情報がないから、濃くプリントしてもただのグレーになるだけです。

 デジタルカメラは、ポジフィルムを使った撮影とよく似ています。
 露光オーバーで「白トビ」してしまった部分を再現することができないからです。機種によっては、モニターの再生画像に白トビ警告が出ます。撮り直しですね。

 白から黒までの間で、表現できる明るさの幅をダイナミックレンジといいます。ダイナミックレンジは、[人間の目]>[ネガフィルム]>[ポジフィルム]>[デジタルカメラ]の順に狭くなっていきます。
 この点もデジタルがポジフィルムに近い、と言われる所以です。

 リバーサルフィルムを使っていたひとは、ネガ・オンリーだったひとよりも、デジタルカメラに馴染みやすいかもしれません。

2009/02/02(月)露出計の換算

 前回、露出計の「出た目」から半絞りから2/3絞り開ける・・という話が出ました。露出計が狂っているからでしょうか?

 反射光式でも入射光式でも、露出計の基準は反射率18%のニュートラルグレーです。目の前の被写体が常にこの状態であることを前提に、数値をはじき出します。
 世の中の物体の平均値だとか、人肌の反射率だとか、いろいろ勝手に解釈されています。自然の風景はともかく、日常生活で周りにあるものは、どうやら反射率が18%ではないようです。

 露出計の「出た目」で撮影すれば、確かに反射率18%の物体は、そのように写ります。けっして露出計が狂っているわけではありません。
 ところが、人物や商品を露出計の「出た目」で撮ると、なんか墨っぽい感じに写ります。どちらかというと、露光不足のような・・・
 これは、写真のダイナミックレンジが、人間の目とと違うために起こる現象のようです。人肌の反射率が18%というのは、当たってないですね。人種によって反射率は様々だし、化粧しているひともいます。

 カメラ雑誌などで写真の知識を得たひとは、リバーサルフィルムは、露光不足ぎみに撮るのがテクニックだと思い込んでいます。
 プロの談話のなかには、ISO100のリバーサルをISO125からISO160に設定して撮る・・という話がよく出てきます。露出アンダーぎみにして、シャドー部を省略する技法です。

 確かに、リバーサルでの撮影は、露光オーバーは助からないが、アンダーは助かるという傾向があります。ネガと逆ですね。
 撮影の目的が、人物写真や商品撮影だったら、求められるのは適正露出です。作品的な表現とは異なります。例えリバーサルが、露光不足ぎみのほうが助かる確率が高いとしても、露光アンダーは適正露出でないことになります。

 作品志向のプロの話を鵜呑みにしているうちは、写真の基礎は身につかないでしょうね。
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