2011/12/07(水)光源の統一はデジカメでも同じ

 色温度の変更や輝線スペクトルの補正が楽になったデジタル写真ですが、光源を統一するのが基本なのは、フィルム時代と同じです。ミックス光源の補正は、デジタルでもやっかいです。

 「酸化セリウム」の先生は、美術関係の撮影をよく引き受けていました。まだ売り出し中の新人もいれば、大御所の作家もいます。共通しているのは、その辺の普通の人とはどこか違うことだとか・・・

 とくにリキを入れていたのは現代美術の作品です。絵画と違って、展覧会が終わると、作品はなくなってしまいます。自分が撮影した写真だけが、作品を語る唯一の記録となります。「だから手を抜けない」と、いつも言ってました。
 駆け出しの新人からは、あまり高いお金は貰わなかったそうです。彼らにとっては1万円でも大金のはずだと・・・

 苦労したのは、やはり会場の照明でした。絵画みたいにストロボやソーラースポット1灯では撮れないからです。現代美術は立体展示なので、会場と一体になった表現です。眼で見たような色調にするには、会場の照明をきちんとしなければいけません。
 一時、スタジオに TRUE-LITE(トルーライト)蛍光灯が、元箱で何箱も置いてありました。撮影の依頼があったときに、展示室の蛍光灯を総入れ替えするためです。プロはそこまでやるんですね。

 そのうちギャラリーのオーナーがそれに気づいて、全ての蛍光灯をトルーライトに統一することになりました。先生の持っていた分も全部お買い上げです。よかったですね。
 真天然昼光色とはいってもトルーライトは蛍光灯です。フィルムで撮るときは若干の補正が必要でした。デジタル式は RAW 現像のときに補正するのが確実なやり方でしょう。

2011/12/06(火)ミックス人工光源の合わせ方

 建築写真で室内を撮る場合、異なる種類の照明が混じっていると、きちんとした発色にならないことがあります。蛍光灯照明がメインで、一部だけ電球が使われている程度なら、蛍光灯の輝線スペクトルを補正するだけでもいいのですが・・・

 フィルムで撮影するときは、まずフィルムのタイプを決めます。一般的なデーライトタイプにするか、写真電球用のタングステンタイプにするかです。
 仮にデーライトタイプを選んだとして、使われている蛍光灯の補正フィルターをレンズ前にセットします。普通はマゼンタにブルーまたはレッドの CC フィルターを組み合わせたものです。(例えば 35M+5B とか 15M+20R)

 デジカメで撮るときは、蛍光灯の種類によってホワイトバランスを手動でセットします。白色(FLW)、昼色光(FLD)、三波長(EX-N・EX-D)など、細かく設定できる機種だと助かります。それか RAW 現像のときに補正するかです。

 もし蛍光灯の種類が混ざっているようだと、少しやっかいです(例えば白色と昼光色)。新築の場合は種類が統一されているはずですが、既築だと混在している可能性が大です。蛍光管を換えるときに写真撮影のことまで考える人は、そう多くはないからです。
 写りに影響のある場所は、管を入れ替えて種類を揃えたほうがいいでしょう。

 きちんと丁寧に写したいときは、電灯スイッチのオンオフで、蛍光灯照明だけのカットと電球照明だけのカットを切り分けます。もちろんそれぞれ色補正が必要です。
 フィルムなら多重露光となります。このとき、露出の配分を変えることで、蛍光灯と電球照明のバランスを変えられます。(これが難解)

 電灯スイッチのオンオフと、フィルター交換、露出の設定変更を何度も繰り返すのは大変です。こういう撮影は、デジタルのほうが楽です。後から画像合成できるし、CC/LB フィルターを用意しなくて済みます。

2011/12/05(月)LEDで色温度をコントロール

 ストロボの代用にするには、まだ光量が足りない LED 照明ですが、小物の撮影には使えるようになりました。室内での使用は AC 電源が使えるので、写真電球や蛍光灯で十分です。LED の利点は、乾電池が使えることでしょう。

 デジタルカメラの高感度化が進むと、少ない光量でも撮影が可能になります。来春の発売がアナウンスされている EOS-1DX は、最高感度が ISO 204800 です。このくらい高感度だと、少ない光量でも撮影できそうです。
 キヤノンでは、ストロボの色温度を変更した際の適正距離を測る仕組みについて、特許を出願しています。クセノン閃光管ではなく、LED を使った照明装置を想定しているのでしょうか?

 ストロボのようにごく短時間だけ点灯させる場合は、LED の定格を超える電流を流してもいいそうです。そのうち LED 式のストロボが実用化されるかもしれませんね。
 最近のデジカメは、動画機能をウリにしているから、定常光と併用できるタイプなら、普及する可能性は十分あると思います。

 定常光の色温度に合わせて、カメラ側の照明装置の色温度を自由に設定できれば、背景との色温度差を解消できます。フィルムでは難解だったシーンがオートで撮れるのは、デジタルならではのメリットです。
 一方、この方式では、全てのシーンが解決できないジレンマがあります。ミックス光源の問題です。

 室内が電灯照明だけならいいのですが、蛍光灯が混じっていたり、さらに窓から外光が差し込んでいたりすると、単純にはいかなくなります。
 最終的には、人間の眼で見て違和感のない自然な発色になるよう、手動で調節するしかないでしょうね。
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