インドのカメラ市場を紹介したテレビ番組では、ニコンが市場を握れた理由のひとつに、日本式の展示方法を挙げていました。デモ機を自由に触らせるオープン展示です。インドでは、高額商品は鍵のかかったウインドーに箱に入れたまま展示するのが普通です。「盗られたらどうするんだ」という店員の話を紹介していました。
確かに、インドで地方都市のショッピングセンターに入ったときも、高額商品は鍵のかかったウインドーの中に展示されていました。金のネックレスを見せてくれと言っても、「It's very expensive(これは高いよ)」と言ってなかなか取り合ってくれません。「How much」と聞いたら日本円で 2,000 円くらいの商品でした。どうやら本物の金ではなさそうです。それでもこんな売り方です。
インド人にとってはカルチャーショックだったでしょうね。月収の何倍もする高級カメラが、自由に触れるなんて夢みたいな話です。そのせいか、以前に比べて売れ行きはいいそうです。
実は日本でもこうしたオープン展示は、一部の量販店だけで行われていた方法です。市中のカメラ店は、鍵のかかったウインドーの中にカメラを展示するのが普通でした。さすがに箱に入れたままということはありませんでしたが・・・
いまでも商品展示がウインドーだけのカメラ店は多いと思います。小規模店では売り場面積の問題もあるようです。インドの専門店のほうが進んでいるかもしれません。
国内では、小規模店の展示機は自己負担だと思います。仕入商品を下ろして展示する形です。一方、大手量販店はデモ機分の補填があったり、展示機が貸し出し扱いだったり、手厚い援助があるみたいです。特定の取引先を優遇するのが問題視されるようなら、一旦は正規に販売しておいて、廃盤の時点で返品処理すればいいことです。民間の商取引は、抜け道がいくらでもあります。
放送を見た限りでは、インドの専門店はメーカー丸抱えみたいです。それだけ販売力があるんでしょう。ディスプレーのほかに看板サインなどもメーカーが面倒を見ているようです。このあたりも古きよき日本式ですね。