2012/03/03(土)超深度の広角マクロ

 焦点距離の短いワイド系のマクロレンズは、被写体の近くに寄って等倍以上に拡大するのに向いています。RMS マウントのベローズ専用レンズは、拡大率だけでなく被写界深度が深いのが特徴です。
 深度が深いといってもマクロ撮影だから、ピントが合うのは狭い範囲に限られます。学術研究用で、レンズの被写界深度部分に真横からレーザー光線を照射し、被写体を前後方向に動かして長時間露光する装置がありました。パンフォーカスのマクロ写真を撮るためです。

 昆虫の写真でそういうのを見た!という人がいるかもしれませんが、写真展や写真集で見たのなら別の方法で撮った写真です。昆虫写真家の栗林慧さんの作品ですね。別名「虫の眼レンズ」という自作の特殊レンズを使っています。
 バッタの向こうの空に雲がハッキリ写っている画像は、普通の広角マクロでは撮れない世界です。いくら絞り込んでもああはなりません。

 焦点距離が短く開口径の小さいレンズほど被写界深度は深くなります。撮像センサーの小さいコンデジで、背景をボカすのが難しいのは、被写界深度が深いからです。
 その映像を大きく拡大できれば、近くの虫にピントを合わせても、中景の建物や遠景の山や空が識別できる程度のボケ具合に収まると考えたのが、虫の眼レンズ誕生のきっかけでした。

 まず短焦点・小口径の対物レンズを用意します。監視カメラなどに使うボードレンズでいいでしょう。それだけでは小さな結像しか得られません。その空中像を拡大して投影するレンズが必要です。こちらはマクロレンズやリバースした一般撮影用のレンズで代用できそうです。

 実際の撮影風景をテレビで見たときは、やたらと筒が長いレンズを使っていました。拡大投影用のレンズとカメラボディーとの間に距離があるからだと思います。
 天体望遠鏡を扱う企業が完成品を斡旋していますが、やはりこのタイプです。気になる人は自作を試みては?
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