2009/03/04(水)衣桁がけの着物を撮る

 呉服屋相手の写真講座では、衣桁がけの着物の撮り方もやりました。
 商売以外に時間を掛ける以上は、何か実利を握らないと納得しないひとたちです。自分で着物の写真が撮れれば、広告の写真代が節約できるから、評判はよかったみたいですね。

 手本になるような写真を探しましたが、きちんと撮れているのはなかなか見つかりません。デパートの広告写真くらいですかね。雑誌やWEBページに載っている衣桁がけの写真は、ほとんどが素人写真です。

 衣桁には1段と2段があります。どちらでも構いませんが、2段式のほうが大きいし、着物をセットするのが楽です。

 衣桁がけの着物は平面的だから、一種の複写と考えることができます。左右から均等にライトをクロスさせれば、簡単に撮れます。
 前に撞木にかけた帯や、草履バッグなどのハデ物を置く場合は、左右に影が出るので複写のライトは使えません。(一応写りますが、みっともないです)
 立体物と一緒に撮るなら、コマーシャルフォトの定番ライト、左メイン・右サブでしょうね。

 いまどきの呉服屋は、写真スタジオを併設しています。人物の代わりに衣桁を置いて撮るのが一番簡単な方法です。
 人物撮影と違うのは、スカイ(トップ)ライトを消すことです。2段衣桁だと真中だけに不自然な照りが入るからです。
 それと、バックグラウンドライトを入れるなら、着物のウラに黒ケント紙を仕込んで、バックからの反射光が透過しないようにしなければなりません。面倒なら、バックライトは消します。

 衣桁は1.7~2mくらい幅があります。人物の立ち位置にセットすると、バック切れを起こす可能性があります。スタジオの奥までカメラを引いて、長めの焦点距離で撮るのがコツですが、「引き」がないならバック寄りに衣桁をセットするしかありません。

2009/03/03(火)小物の商品撮影

 呉服卸の社長に頼まれて、スタジオ写真の講座をやった関係で、たまに呉服屋から相談の電話が掛かってきます。
 先日も広告チラシに載せる小物の写真の撮り方で、相談がありました。

 いままでは、専門の業者に頼んでいたが、1カット3,000円かかるそうです。何十点もあると、写真代だけで10万円以上になるとか・・・
 腰紐や帯揚げを撮るのは、そんなに難しい撮影ではないので、やり方を教えるから自分で撮るように勧めました。

 店まで出向いて説明すると、跡取りはまだ若いのに尻ごみして、「撮ってもらえないか?」と言います。
 撮影は本業ではないから、丁重にお断りしました。ブツ撮り用の機材も積んでいなかったし・・・
 誰か安く撮ってくれるひとはいないか? と言いますが、プロに頼めばそこそこの料金は掛かります。安く済ませたいのなら、自分で撮るしかないですね。

 ずいぶん前に渡しておいた写真用品のカタログに載っている、ボックス型の撮影装置が欲しいと言います。価格は1万数千円のものですが、小さな商品しか撮れません。
 草履バッグセットくらいの大きさになると用を足さないので、トレーシングペーパーを張って、簡易に撮れる方法を提案しておきました。

 前に譲ったモノブロック型のストロボは、まったく使っていないといいます。それなら、あとはトレペを買ってくるだけです。数百円で済みます。
 なるべくお金をかけない方法を提案しましたが、自分で撮るのが自信のない様子です。やったことのない分野だから、無理もありませんが・・・

 写真業界でも呉服業界でも、小売店のひとたちは依頼心が強いですね。問屋メーカーが手取り足取り面倒を見る習慣が、定着しているからでしょうか?

2009/03/02(月)ストロボの同調不良3

 ある呉服屋のスタジオでの珍事です。シンクロターミナルのない、普及型のデジタル一眼レフで、シャッター速度を落としても同調しない・・ということがありました。内蔵ストロボを光らせて、外部ストロボと同調させようとしましたが、発光するのに写りません。

 業務用に使うには格落ちの「ママの一眼レフ」だったので、深くは追求しませんでしたが、フィルム時代のカメラでは考えられない現象です。
 ホットシューアダプターを使って、シンクロコードで直結すれば、写るだろうと思いますが・・・

 後日、別の呉服屋から電話で相談があったときは、シンクロコードでつないでいるのに写らないと言います。機種を聞いたら、こちらも「ママの一眼レフ」でした。
 素人相手に、シャッター速度がどうの・・と説明してもラチがあきません。スタジオ用にちゃんとしたデジタル一眼レフを持っているので、「そちらを使って!」と返事しておきました。

 コストダウンで、普及型のカメラに外部ストロボをつなぐなんてことは、想定外の設計になっているのかもしれません。
 それでも、一般的に呉服屋は商売人でケチだから、安いボディーをサブカメラに・・と考えるひとは大勢います。
 絞りが設定できるコンパクト型のデジカメをサブカメラにしようとした店もありました。最小絞りで撮ってもド・オーバーで、諦めましたが・・・

 その店は、スタジオ用にFinePix S3proを使っていました。マウントが同じという理由で、サブカメラにはニコンの普及機を買いましたが、「写りが違う!」と言います。
 FinePixはハニカムCCDだし、伊達に高いわけではありません。普及機と併用するのは、使い勝手が悪いように思いますが、同じボディーを揃える予算がなかったみたいです。

 こちらの普及機は、ホットシューに赤外線ストロボを付けてワイヤレス同調させています。いまのところトラブルはないようです。普及機といえども、「さすがニコン!」(?)ですね。
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