2009/01/16(金)蛍光灯の色補正

 デジタル時代の到来で、使わなくなったフィルターに蛍光灯用があります。
 コマーシャルフォトの世界では、俗にいうゼラチンフィルターを使っていました。ゼラチン素材はコダックで、フジはトリアセテートです。

 フィルターは2枚を組み合わせて使います。
 蛍光灯は、シアンとイエローに輝線スペクトルがあって、人間の目には見えませんが、写真には緑色が乗ります。シアン+イエロー=グリーン・・ですね。
 蛍光灯の種類によって、フィルターの組み合わせが変わります。グリーンの補色であるマゼンタをベースに、ブルーかレッドのフィルターを加えます。使うフィルムによって微妙に変わるから、コレッ!という方程式はありません。自分なりのデータを掴むのが、プロの素養でした。

 一般のアマチュアは、こうした方法はとりません。そこまでシビアな撮影はしないし、お金をもらう写真じゃないしね。
 ケンコーなどのフィルターメーカーから、FLWというガラスフィルターが出ています。赤紫色の蛍光灯用補正フィルターです。FLWは、白色蛍光灯用です。昼光色や昼白色、三波長タイプでは、多少の色ズレを生じます。

 FLWのフィルターを持っているひとは、少ないですね。蛍光灯が緑色の光源だと知っていても、補正して撮るという習慣がないからだと思います。
 FLWの赤紫色を見て、これをレンズの前に付けようなんて思うひとは、かなりの「手練」ですね。一眼レフのファインダーを覗くと、世の中が赤紫色に見えます。撮影結果がノーマルな発色になるなんて、普通のひとでは想像できません。

 その点、デジタルカメラは、カメラ内部で電気的に色補正するから、FLWフィルターをつけるような抵抗感はありません。蛍光灯の種類を選んで、セットするだけです。ファインダーは普通に見えているし・・・
 デジタル一眼レフを使うなら、蛍光灯の色補正をする習慣を身につけたいですね。

2009/01/15(木)画像ソフトの値打

 アナログ時代にはずいぶんお世話になったcokinのフィルターセットですが、デジタル時代になって、出番は少なくなりました。取って代わったのは、画像ソフトです。

 photoshopなどの画像ソフトは、業務用になるとずいぶん高価です。アマチュアが使うには、ちょっと高すぎますね。普及版なら、ハイエンドのデジタル機器に無償でついてくることもあるから、こちらを利用するのが経済的です。
 RGBごとのトーンカーブをいじったりしないのなら、普及版でも十分実用できます。

 フィルターワークの幅からみて、画像ソフトはお値打です。これだけの機能を市販のフィルターでカバーしようと思ったら、かなりの枚数になります。
 cokinのフィルターセットは、処分価格で安く手に入れましたが、普及版の画像ソフトのほうが「激安」ですね。デジタル化の恩恵です。

 一方、フィルターメーカーにとっては、受難の時代です。デジカメに適合するフィルターはコーティングが云々・・と、単価アップに懸命ですが、使われなくなったフィルターをカバーするところまではいきません。
 PLフィルターが消耗品だと思っているひとは少ないしね。

 光学フィルターが事前に効果を目で確認できるのと違って、画像ソフトのフィルター効果は、やってみないとわかりません。失敗してもやり直せるから、アレコレ試してみればいいんだけど、とんでもない結果になると、思わずビックリです。
 ハデなフィルター効果をどうやって抑えて使うか・・・ 画像ソフトが手に馴染むようになるには、もう少し修行が必要のようです。

2009/01/14(水)多重露光のソフト効果

 ソフトフォーカスのテクニックに、多重露光があります。ピントの合った画像と、ピントをボカした画像を多重露光して、1枚の写真にする技法です。
 ソフトフィルターとはひと味違った自然な描写が魅力でした。

 「でした」と過去形にしたのは、撮影時に多重露光する必要がなくなったからです。パソコンの画像処理で、テストしながら何度でもやり直すことができます。

 現場での多重露光には、いろいろ制約がありました。動いているものには使えません。ポートレートなんかは対象外です。
 花の写真によく使われた技法ですが、風が吹いていたらアウトです。皆さん、かなり苦労していたみたいですね。

 多重露光ということは、適正露出のまま2回撮ると露光オーバーになります。1回目の露光と2回目の露光を足して、適正露出になるようにするには、単純に考えて、1絞り絞ればいいことになります。0.5+0.5=1ですね。
 ところが理屈通りにはなかなかうまくいきません。花のソフトフォーカスは、どちらかというと明るめの表現のほうが、しっくりいきます。
 1絞りオーバーではやりすぎですが、1/2か1/3絞り程度オーバーぎみになるよう、露出を調節します。ピントの合った画像とピンボケの画像と、どちらの露出をどうするか・・・ パズルですね。

 そんな苦労も昔懐かしい話になりました。画像処理なら自由自在です。同じカットから加工するので、風の心配もありません。
 一番ありがたいのは、人物写真でこのテクニックが使えることです。肌色の部分だけとか、ハイライトだけとか、ボカす対象をコントロールできます。肌色だけをボカすために、ポートレーヤーなんてクソ高いフィルターを用意する必要もありません。

 結婚式のデザインアルバムには、この方法で作ったソフトフォーカスのポートレートを使いました。あまりハデな加工をするよりも、ハイライトが少し滲んでいる程度に抑えたほうが自然です。
 フィルターテクニックもそうですが、「やりました!」というよりは、さりげなく・・というのが基本ですね。
OK キャンセル 確認 その他