2009/01/14(水)多重露光のソフト効果
ソフトフィルターとはひと味違った自然な描写が魅力でした。
「でした」と過去形にしたのは、撮影時に多重露光する必要がなくなったからです。パソコンの画像処理で、テストしながら何度でもやり直すことができます。
現場での多重露光には、いろいろ制約がありました。動いているものには使えません。ポートレートなんかは対象外です。
花の写真によく使われた技法ですが、風が吹いていたらアウトです。皆さん、かなり苦労していたみたいですね。
多重露光ということは、適正露出のまま2回撮ると露光オーバーになります。1回目の露光と2回目の露光を足して、適正露出になるようにするには、単純に考えて、1絞り絞ればいいことになります。0.5+0.5=1ですね。
ところが理屈通りにはなかなかうまくいきません。花のソフトフォーカスは、どちらかというと明るめの表現のほうが、しっくりいきます。
1絞りオーバーではやりすぎですが、1/2か1/3絞り程度オーバーぎみになるよう、露出を調節します。ピントの合った画像とピンボケの画像と、どちらの露出をどうするか・・・ パズルですね。
そんな苦労も昔懐かしい話になりました。画像処理なら自由自在です。同じカットから加工するので、風の心配もありません。
一番ありがたいのは、人物写真でこのテクニックが使えることです。肌色の部分だけとか、ハイライトだけとか、ボカす対象をコントロールできます。肌色だけをボカすために、ポートレーヤーなんてクソ高いフィルターを用意する必要もありません。
結婚式のデザインアルバムには、この方法で作ったソフトフォーカスのポートレートを使いました。あまりハデな加工をするよりも、ハイライトが少し滲んでいる程度に抑えたほうが自然です。
フィルターテクニックもそうですが、「やりました!」というよりは、さりげなく・・というのが基本ですね。