メッセージ

2008年01月21日の記事

2008/01/21(月)写真は料理と同じ

 写真は現実の実体(被写体)を模写します。料理は手元にある食材を使って調理します。どちらも素材は自分達の周りにあるものです。絵画などのアートと違って、想像や架空のものを題材にすることは苦手な分野です。

 なかには「写真はアートだ」というひともいます。自己表現の手段として写真の技法を使うことは可能ですから、間違っているとはいえません。でも、そういう発想と志向は、限られたひとだけに開かれた狭義の世界でしかありません。

 写真の本質は「記録」です。自分の目の前にある対象をどう捉えるか、自分が感じた(あるいは感動した)ものをどう記録するかが課題です。目の前の食材をどう調理して美味しく食べられるかを考える料理と、どこか合い通じるものがあります。

 写真でも料理でも、最大の関心事は目の前にある素材です。素材の魅力が占めるウエイトが一番大きいといっても過言ではないでしょう。素材がよければ、腕を振るおうとテンションが上がりますからね。上手な写真と上手な料理に共通しているのは、よい素材を見つけることです。

 素材のよさを引き出すためにはテクニックが必要な場合があります。ちょっと手を加えることで、素材の持ち味をさらに活かすことができます。テクニック(技術)や知識は、持っているに越したことはありません。
 しかし、「これが正しい!」という固定した観念で技術を振るうと、失敗することがあります。誰もが一様に、血が滴るような生焼けの肉を好むとは限りません。「おこげ」が好きなひともいれば、嫌いなひともいます。人の舌には感度と好みがあるのです。

 写真の世界でも料理の世界でも、上を見ればキリがありません。結婚式を上手に撮る・・・といっても、「上手」の基準はさまざまです。本サイトでは、コマーシャルフォトのプロが使うような究極のテクニックは紹介しません。そんなことまでしなくても、目の前の幸せそうな二人は、そのままでも魅力のある「素材」ですから。
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