メッセージ

2008年01月23日の記事

2008/01/23(水)よいカメラとは?

 このサイトを立ち上げる前に、知り合いの写真館の先生に話をしたことがあります。その先生いわく、「そんな記事を書くくらいなら、どういうカメラを買ったらいいか教えたほうがよっぽどマシ」・・・なるほど!と妙に納得してしまいました。最近のデジカメは、すごいですからね。

 心に残る思い出の1枚を撮るには、どういうカメラが良いのでしょう?

 1月20日まで、名古屋市にある「ノリタケの森」ギャラリーで、増山たづ子さんの写真展をやってました。増山さんといえば、日本最大の徳山ダムに沈んでしまった旧徳山村で、民宿を営んでいたことで知られています。
 すでにお亡くなりになり、遺作展の形で開催されました。当時撮られた写真には、ふるさとの風景や村民の暮らしが記録されていて、見るひとに郷愁と感動を与えます。

 彼女が愛用していたのは、ピッカリコニカでした。35ミリ判のコンパクトカメラで、カメラに初めてストロボが内蔵された機種です。レンズは38mm/F2.8の単焦点、ピントは目測のゾーンフォーカスです。フィルム巻上げは手巻き式でした。けっして高級機とはいえないカメラです。
 増山さんの話を聞きつけて、当時のコニカがAcom1(エイコムワン)という一眼レフを贈りましたが、「わしゃぁ、こんな難しいカメラはよう使わん」といって、ピッカリコニカで撮り続けたそうです。そのころ一眼レフ市場で苦戦していたコニカの担当者は、「ピッカリコニカでもいいけど本心はエイコムを使ってほしい・・・」とこぼしてました。

 このことを取り上げて、「カメラは何でもいい」と結論づけるのは間違いです。増山さんという人物と、手軽に使えるピッカリコニカという組み合わせがあって、あの写真が残ったわけです。何でもよければ、エイコムのほうがよく写るはずですから。
 本サイトでは、上手な写真を撮るために、何が何でも一眼レフを推奨することはしません。そのひとなりに使いやすいカメラ、使いこなせるカメラが一番よいと考えるからです。

 時が経ち、増山さんはお亡くなりになり、コニカ(現コニカミノルタ)はカメラ事業から撤退しました。残ったのは、増山さんが撮り貯めた膨大な量の写真です。
 写真の本質は、やはりその記録性にあると思います。カメラは、そのための道具でしかありません。
OK キャンセル 確認 その他