2008/01/28(月)印画紙は当面なくならない

 衰退の一途をたどる銀塩市場ですが、フィルムに比べてプリントのほうは、ここしばらくは大丈夫のようです。インクジェットや昇華型プリンタの高画質化、耐久性の強化が進んでいますが、印画紙の有利性はまだ一歩先を行っていると思います。

 感光材料には、有効期限があります。フィルムなら通常1-2年です。製造中止を発表しても、市中に出回っているフィルムの有効期限があるうちは、印画紙まで製造中止にはできません。(製造メーカーがすべて倒産してしまえば話は別ですが・・・)
 もうひとつ「縛り」があります。印画紙を使う業務用カラープリンタ(自動現像機)の寿命です。数百万円から一千数百万円するカラープリンタの法定耐用年数は、6年です。リース契約なら通常5年か6年です。この間に、印画紙や薬品が製造中止になることは、まずありえません。どこかのメーカーが市場から撤退しても、必ず受け皿が用意されます。でないと、詐欺になってしまいますからね。

 業務用カラープリンタは、現在でも製造されています。ひところ国内のシェア争いでデッドヒートを繰り返していたFUJIFILMフロンティアと、世界シェアトップのノーリツ鋼機QSSは、現在「休戦状態」です。休戦というよりも「蜜月時代」といったほうが正確かもしれません。
 ノーリツ鋼機(給湯のノーリツとは無関係)は、和歌山市に本社がある機械メーカーです。コダックとの提携で、世界シェアトップの座を確保してきました。大元は西本カメラという写真店で、モノクロ時代の水洗器から出発した会社です。現在は、世界中の銀塩メーカーがプリンタのOEM生産を委託しています。FUJIFILMのフロンティアも、その心臓部はノーリツ鋼機製に変わりました。メンテナンス部門もノーリツ鋼機へ移管です。

 当時、現場でドンパチやってた「兵隊」たちは、ビックリしたでしょうね。相手の足にしがみついて一所懸命引っ張ってる最中に「仲良くやれ!」ですからね。
 この業務提携を見て、FUJIFILMは銀塩市場から撤退すると踏んだひとは、かなり多いと思います。シェアが低かったコニカミノルタは、写真業界ルートの営業権をDNP(大日本印刷)に渡して、とっととオサラバです。こういうときは、シェアが低いことが幸いしますね。

 世界シェアトップのコダックは、どうなるんでしょうね。でも、コニカが銀塩市場撤退を発表しなかったら、コダックが先に日本市場からの撤退を決めていた、という話を聞いたことがあります。
 みんな「貧乏くじ」を引くのが嫌で、銀塩市場から何とかドロンしたいばっかりなんですね。

2008/01/27(日)銀塩はシステムで成り立つもの

 フィルム派には、ちょっと刺激的な話題が続きました。今回もまたマイナスイメージの話です。

 フィルムには、現像処理プロセスが不可欠です。発色現像-漂白定着というウェットな薬品処理が必要で、現像してくれるところがなくなっては、画像を手にすることができません。

 ひところはどこにでもあった自家処理店は次々と姿を消し、残されたお店もフィルム現像機のスイッチが切ったままのところが目立つようになりました。
 薬品を使うウェットな処理は、毎日一定の処理本数がないと、薬液の維持管理ができないようになっています。1本現像するたびに新しい処理液が補充される仕組みになっていますが、処理本数が少ないと母液タンクの中身が入れ替わる前に、薬品が疲弊してしまうからです。

 印画紙にプリントする機械は、補正能力が高く、正常にプリントできなくなる直前まではキチンとプリントできます。フィルム現像がセンターからズレていても、ある程度までは補正できるわけです。フィルム現像が正常になされたかどうかは、コンスト(テストフィルム)を濃度計で測らない限り、プロでもわかりません。(目で見てわかるようならすでに末期症状です)

 一般消費者としては、こうした危なっかしい状態を回避するには、現像本数を一定量以上確保している写真店を利用するくらいのことしかできません。真昼間から新聞を広げてヒマそうにしている写真屋さんは、敬遠したほうがよいということになります。(いつも店の前を通るたびにヒマそうにしているオヤジ!もうちょっと危機感を持ちなさい!)

 プリントの自動現像機は、デジタルからのプリントがありますから、フィルム現像機よりも稼働率が高く、薬液の心配はそれほどでもありません。それよりもプリントするオペレータの能力のほうが問題です。
 似たような2枚の写真を並べたとき、色が少し違うことはほとんどのひとが判断できますが、どちらの色が良いのかを判断できるひとは、十人に一人か二人です。プリンタのオペレータは、もう少し確率は高いと思いますが、それでも五人に一人か二人です。
 フィルムにこだわるなら、銀塩にこだわる腕のいい写真屋さんと仲良くすることです。

2008/01/26(土)フィルムはどうなるの?

 ISO800のネガフィルムの話をしていて、ちょっとキナ臭い匂いが漂ってきました。「2010年終焉」説って、何なんでしょうね。フィルムがいつか市場から姿を消すのは時間の問題だとは思いますが、それが2010年という根拠はどこにあるのでしょう。

 銀塩(フィルム)が写真の主役から転落したのは、まだほんの少し前です。市場原理は厳しいもので、これから伸びていく商品と、今後衰退していく商品とでは、正反対のベクトルが働きます。「高い土地に土盛り」という諺どおりです。
 確か2005年だったと思いますが、FUJIFILMは2010年までに銀塩から撤退する―という噂が流れました。火のない所に何とやら・・・ 多分、放言タイプの誰かの口からポロリと漏れたのだと推察します。

 その後、2006年のFUJIFILM新年交礼会で、トップクラスが「3年後のフィルム需要は15%まで減る」と爆弾発言をしたそうです。これは伝え聞いた話なので、本当かどうかは保証できませんが、情報提供者はいいかげんなことを言うひとではないので、大筋でそんな話だったのでしょう。
 当時は大手写真商社の勝〇会長とか前時代を謳歌した長老たちが健在でしたから、先進的な小〇さんにしてみれば、「アンタら旧態依然としていて大丈夫かね?」という警告を発したかったのかもしれませんね。2010年の予測では漏れた噂を認めることになってしまうので、敢えて1年前の2009年の話をしたのだと、勝手に推測した記憶があります。

 あれから月日が流れて、もう2008年です。あと2年くらいでホントにフィルムが市場から姿を消してしまうんでしょうか? ちなみに、今年のFUJIFILMの新年交礼会は、例年の東京・大阪ではなく、東京だけだったそうです。
 もう、秒読みの段階に入ったんですかね。
 
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