2008/01/22(火)フィルムは残らない

 フィルムは残らない・・・そう聞いて、「アァ、とうとうアナログの写真は終わったか!」と早とちりしないでください。いずれは一般消費者が目にすることがなくなる時代が来るでしょうが、まだ市中にフィルムは出回ってますから。

 「フィルムは残らない」というのは、結婚式の写真みたいな頼まれた撮影のフィルム原板が、手元に残らないことを言いたいわけです。いままで、仕事ではないにせよ、ずいぶん多く結婚式の撮影をしてきましたが、手元には何も残っていないのです。
 デジタルの時代になって、写真画像の同画質でのコピーが簡単にできるようになり、ハードディスクの片隅やCD-Rの形で手元に残るようになりました。親戚の叔父伯母はともかく、若いゲストへの返礼には、プリントではなくCD-Rのコピーを渡したほうが、気がきいているかもしれません。コストも安いですし。

 本サイトに掲載されている結婚式の写真画像は、実は大半がフィルムで撮影されたものです。もちろん手元にフィルム原板は残っていません。原板を当事者から借りてくればいいわけですが、「この写真はダメ」とか「この顔はイヤ!」とか注文されても困るし、編集権を握られる可能性があります。子供が生まれても、まだ花嫁気分でいるかも知れないし・・・

 なぜフィルム原板がないのに手元に画像データがあるかというと、ブライダル写真集を作ったからです。フィルムからデジタルデータに変換して作業をしたので、CD-Rの形で手元に残りました。本編でも紹介した「同時CD書込み」というやつです。
 フィルムスキャナでいちいち画像を取り込まなくても済みました。あれって、結構時間が掛かりますからね。

 写真屋さんで、同時プリントと一緒にCD-Rを作ってもらったわけですが、WEBページ本編でも触れたように、このときの画像データはL判程度の大きさしかありません。通常4ベースと呼んでいる150万画素から200万画素程度の画質です。
 写真屋さんが持っているデジタルプリンタによりますが、16ベース(600万画素)で記録できる機種もあります。しかも、JPEGだけでなくTIFFで記録できる機能もあります。めちゃんこ時間が掛かるので嫌がられますが・・・

 このときは、「仕上げ時間を急がないので暇なときに・・・」とお願いして、一旦4ベースのTIFFデータで全コマをCD-Rに焼いてもらいました。後でセレクトしたコマだけ16ベースのTIFFで書込みを依頼しました。大サイズ用です。かなり大変だったと思います。ありがとね、店長さん。

 大半の写真屋さんは、自店の機械で何ができるのかを知りません。ただ黙って4ベースのJPEGデータをせっせと書き込んでいるだけです。話が通じる懇意な写真屋さんがあれば別ですが、16ベースだのTIFFだのといった注文は、やめといたほうがいいと思います。書き直しできないCD-RならJPEGでも安心だしね。
 大サイズ用は、フィルムスキャナか高性能のフラットベッドスキャナで取り込みます。数コマなら大した手間ではないですから。極端な画像処理をしないなら、JPEGで十分です。TIFFは読み込むのに時間が掛かります。

 フィルムの話は、上級者を対象にしています。初心者はデジタルカメラで撮影してください。ご存知とは思いますが、ケチって画素数を落として使わないようにね。ケータイでも500万画素の時代ですから・・・

2008/01/21(月)写真は料理と同じ

 写真は現実の実体(被写体)を模写します。料理は手元にある食材を使って調理します。どちらも素材は自分達の周りにあるものです。絵画などのアートと違って、想像や架空のものを題材にすることは苦手な分野です。

 なかには「写真はアートだ」というひともいます。自己表現の手段として写真の技法を使うことは可能ですから、間違っているとはいえません。でも、そういう発想と志向は、限られたひとだけに開かれた狭義の世界でしかありません。

 写真の本質は「記録」です。自分の目の前にある対象をどう捉えるか、自分が感じた(あるいは感動した)ものをどう記録するかが課題です。目の前の食材をどう調理して美味しく食べられるかを考える料理と、どこか合い通じるものがあります。

 写真でも料理でも、最大の関心事は目の前にある素材です。素材の魅力が占めるウエイトが一番大きいといっても過言ではないでしょう。素材がよければ、腕を振るおうとテンションが上がりますからね。上手な写真と上手な料理に共通しているのは、よい素材を見つけることです。

 素材のよさを引き出すためにはテクニックが必要な場合があります。ちょっと手を加えることで、素材の持ち味をさらに活かすことができます。テクニック(技術)や知識は、持っているに越したことはありません。
 しかし、「これが正しい!」という固定した観念で技術を振るうと、失敗することがあります。誰もが一様に、血が滴るような生焼けの肉を好むとは限りません。「おこげ」が好きなひともいれば、嫌いなひともいます。人の舌には感度と好みがあるのです。

 写真の世界でも料理の世界でも、上を見ればキリがありません。結婚式を上手に撮る・・・といっても、「上手」の基準はさまざまです。本サイトでは、コマーシャルフォトのプロが使うような究極のテクニックは紹介しません。そんなことまでしなくても、目の前の幸せそうな二人は、そのままでも魅力のある「素材」ですから。

2008/01/20(日)本サイトのコンセプト

 WEB上には撮影テクニックに関するサイトが数多くあります。多くは「写真」を趣味にしているひとたちを対象にしています。以前から感じていたことですが、「写真を撮ること」そのものが趣味であるというのは、何か変な気がします。趣味のために写真を撮る(あるいは活用する)というのが、自然ではないかと思います。

 写真がこの世に誕生してから160年以上経ちました。その大半が感光材料を使った「銀塩」と呼ばれるアナログ技術の歴史です。撮影機材の進歩で誰もが写真を手軽に楽しめるようになったのは、まだ最近の話です。それまでは、高額な写真機を持ち写真が撮れること自体が、ひとつのステータスのように扱われていました。写真が趣味というひとたちは、ある意味では「カメラが趣味」ということなのかもしれません。

 時代は変わり、写真の世界はアナログからデジタルへ大きく転換しました。デジタル技術の進歩は目覚しく、写真を撮ることそのものは、決して難しいことではなくなりました。
 携帯電話にまでカメラが搭載され、いつでもどこでもというユビキタスな状況になりました。ヒット商品の「写ルンです」ではできなかった、撮ったその場で他のひとに画像を送る、なんて芸当もできてしまいます。

 こうした状況のなかで、新しい時代の写真について情報を発信し、写真画像の活用方法を模索するために、本サイトを立ち上げました。「写真が趣味」ではなく、趣味に活かす写真、実用性のある写真について、話を展開していきます。
 その第一歩として、「結婚式を上手に撮る秘訣」をテーマにスタートします。理由は、WEB上で検索していても、これぞ!というサイトがなかなか見つからなかったからです。もっと時間をかけて真剣に探せば、優秀なサイトに巡り合えたかもしれませんが・・・

 技術的な話や撮影機材の話は、既存のサイトがいっぱいあるので、そちらを参考にしてください。一部ですが「お役立ちLink」にお薦めサイトを紹介しておきました。既存のサイトにない独自の切り口で展開していきたいと思います。
 それでも、もし技術的に不明な点などありましたら、何なりとご質問をお寄せください。写真に関することなら、大抵のことには答えられると自負していますのでご遠慮なく。

 たまたま本サイトで巡り合えた方々と一緒に、内容のある充実したWEBサイトに育て上げていけたら・・・と願っています。
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