2012/09/20(木)APSCとフルサイズの互換性
問題は、フルサイズに対応していない APSC 専用レンズにあります。APSC 機はどちらのレンズでも使え、フルサイズ機は APSC 用のレンズが使えない、というのが常識です。小が大を兼ねる、逆転した関係です。
ニコン D800/E はクロップという方法で、どちらのレンズでも使えるようにしています。APSC 専用レンズを装着すると自動的に 135 換算の画角になるよう、撮像素子の中央部分を APSC サイズとして扱います。3600 万画素という高画素がそれを可能にしました。
ニコンはフルサイズ機(FX)でも APSC 機(DX)用のレンズが装着できます。画面の周辺が写らない(あるいは使い物にならない)ということを知ったうえで、使う使わないの判断はユーザーに任せる形をとってきました。光学式ファインダーでは、画面の周辺がケラレたり暗くなったりしますが、真ん中は見たとおりちゃんと写ります。
一方キヤノンは、APSC 専用の EF-S レンズをフルサイズ機には装着できないようにしています。ある意味では正当な選択であり、ユーザーに親切な方式とも言えますが、APSC 機のユーザーをフルサイズに誘導するのには不利に働きます。
まさかこんなに早くフルサイズ化の時代がやってくるとは思わなかったのかもしれません。同じマウントで違うフォーマットサイズを兼用したツケが、いま回ってきた感じです。
APSC のミラーレス機 EOS M は、マウントアダプターでどちらのレンズでも装着できます。フルサイズ化より先に、こちらを売り込む戦略が得策だと思いますが、ミラーレス機には及び腰の感じを受けます。
デジタル時代になってから一眼レフを購入した人は、ほとんどが APSC フォーマットで、フルサイズは少数派です。EOS 5D や Nikon D700 が登場してからは、アマチュアにもフルサイズ機が使われるようになりましたが、ほんの一握りの人たちです。フルサイズを諦め、APSC で行くと心に決めた人が多いのではないでしょうか?
これまでに購入した交換レンズは APSC 専用が多いはずです。フルサイズ対応のレンズは大きくて価格も高めだからです。こうしたユーザーをフルサイズの一眼レフに誘導できるかどうかは、現時点では微妙だと思います。