2012/09/19(水)フルサイズでもうひと稼ぎ
いままで高値の花だったフルサイズの高級イメージをもうしばらく引っ張りたいメーカーの気持ちはよくわかります。普及機と言わずにミドルレンジくらいにアナウンスしておいたほうが、消費者の落胆が少なかったのでは?
個人的には、フルサイズ一眼レフの普及機は、ビジネスとして成功しないと踏んでいます。ミラーレスのフルサイズ機で 10 万円を切る機種が出たら、そちらに流れる可能性が高いからです。
低価格のフルサイズ機を求めるユーザーは、手持ちのレンズ資産を活かしたいのが本音です。フィルム時代のオールドレンズは、カメラ側の AF ではピントが正確に合わないことがあります。安物の光学式ファインダーよりもライブビューでピント合わせができる EVF やモニターのほうが実用的です。
フィルム時代は、フォーマットサイズが大きいほど高画質とされてきました。粒状性や解像感は原板の面積が大きいほど有利です。135 サイズが汎用フィルムとして定着したのは、これが最低の妥協点だったからでしょう。カメラシステムのサイズやコストなども考えると、ちょうどいい落しどころでした。
業務用途や趣味の風景写真には、もっと大きなサイズが使われました。ブローニーフィルムは、送り幅によって 135 フルサイズの3倍から6倍の面積が得られます。それでも足りない場合はシノゴを使えば 15 倍です。高画質が低コストで手に入るのが銀塩式の利点です。
デジタル式で 135 フィルムと同程度の画像を得るのに、フルサイズの撮像センサーまでは必要ないでしょう。もっと小さなフォーマットで可能です。APSC よりも小さい 4/3 インチで十分、という人もいます。
高画素化でフルサイズセンサーは、中判フィルムの領域までカバーする規格として注目されるようになりました。フィルム時代の 135SLR と同じ感覚で普及機を想定するのは、間違いの元かもしれません。