2008/09/10(水)能楽堂の色温度

 「酸化セリウム」の先生が、狂言師の写真集をモノクロ印刷にしたのには、いろいろ理由があります。
 能楽堂は照明が普通の舞台と違うので、カラー写真に不向きな被写体です。狂言師の好みによって、タングステン光の照明を暗く落とすことが多いからです。

 照明を暗くするには、通常スライダックで電圧を落とします。狂言師によっては60Vか65Vまで下げることがあるそうです。当然、色温度も下がります。
 狂言や能は、焚き木程度の明かりで見ると雰囲気が出ます。2000K台の照明下でフィルム撮影は、ちょっと厳しいですね。デジタルカメラの出番です。

 ところが、この先生はアナログ人間なので、撮りはじめのころはフィルムで撮影していました。色温度変換フィルターをかけておいて、足りない分をプリント時に再補正するやり方です。
 そのうち、色の濁りが解消しきれないカラー写真よりも、モノクロのほうが雰囲気があって狂言に向いていると判断したようです。自分で現像・プリントできるから、仕上りもいいしね。

 デジタルカメラは、Finepix S2proを持っていたので、デジタルのカラーデータもたくさんありました。こちらもモノクロに変換して使いました。
 御曹司が、モノクロのデジタル写真を研究していたのが役に立ったようです。印刷屋に渡したデータは、完全原稿だったとか。

 それが全く違う濃度の刷り上りになったもんだから、先生は「大噴火」です。テスト刷りは良かったのに、製本前の本刷りはかなり濃かったみたいですね。
 「あれはあくまでもテスト刷りだから・・」というのが印刷屋の言い分ですが、「何のためのテストだ!」と怒りが収まりません。経費節減のために本刷りとは別の機械でテスト刷りしたのが原因かも?
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