2009/01/21(水)子供写真館は別業種

 お宮参りから始まり、七五三・新入学・卒業・結婚、そして出産・・・ 写真館は、世代を継いでお客とのつながりを築き上げてきました。
 写真館から振袖の記念撮影を奪い取った以上、呉服店にも世代を継いで、記念写真の大切さを継承してもらいたいと思います。

 振袖よりも前に、写真館が奪われたジャンルがあります。七五三の記念写真です。
 世間一般では、子供写真館も「写真館」と同類だと思われているようですが、実際には別の業種です。世代を越えて写真を残す・・という継承性が希薄だからです。
 スタジオ写真は、一旦照明設備をセットすれば、あとはシャッターを押すだけできれいに写ります。常に適正露出だから、誰がシャッターを押しても結果は一緒です。違うのは、振り付けと表情くらいです。

 このカラクリに気づいた一部のひとが、子供をターゲットに撮影業に進出してきました。カメラマンは、経験を積んだプロではなくて、この前まで保母さんをやっていたような素人が大半です。
 違いが出るのがポーズと表情くらいなら、無愛想なプロよりも保母さんのほうが向いています。子供の扱いについては、「プロ」ですからね。

 全国チェーンの子供写真館では、スタジオ写真の経験者を採用することは、まずありません。子供の扱いに慣れた若い女性を雇って、研修センターで特訓します。
 研修では、写真の原理やライティングなどの技術的な講義はありません。いかに子供をあやして笑顔を引き出すかと、そのチャンスを逃さずにシャッターを切るかの2点に絞って特訓します。

 撮影業は、技術を売る商売ではなくて、接客業だというのが、子供写真館の基本的な考え方です。街の老舗写真館よりもそちらのほうが繁盛しているから、ビジネスとしては間違った方向ではありません。
 スタジオ写真は技術が要る・・こうした世間の誤解に乗じて、「プロ」という名の上にあぐらをかいてきた旧来の写真館は、その裏を突かれたわけです。

 写真館で、やたらと「プロの技術」を謳うところがあります。「プロ」とか「技術」とかをことさら強調する店で、腕のいいところは少ないですね。
 本当に「いい仕事」をする写真師は、写真を見ればわかる・・というスタンスで、言葉による派手な宣伝はしないものです。
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