2009/03/15(日)車ごと撮れる写真館
乗りつける・・といっても、中で方向転換できるほど広いスタジオではありません。車輪にキャスター付きの台車を履かせて、人力で車の向きを変えます。
この写真館(館主はアトリエと呼んでますが・・)の先生は、高級輸入車のファンクラブとも交流があって、車好きの人物です。倉庫を改築して、車ごと写真が撮れるスタジオを造りました。
車の写真を撮るために何が必要かは、この先生はよく理解しています。人物専門の写真館にしては珍しく、コマーシャルフォトの知識も豊富です。
自分が撮りたいのは車の商品写真ではない、といいます。車のオーナーが愛車と一緒に写りたい・・という要望に応えて、このスタジオを造ったそうです。車好きの人間だから、お客の気持ちがわかるんでしょうね。
周りをグルリとディフューザーで覆う撮り方はしないようです。あくまで、「人と車」の記念写真が目的です。
それでも、4m四方のスカイライトをどうやって作るかを考えている・・と言ってました。角度が変えられないと意味がないとも・・・
パイプフレームにテント地を張るのがいいか、それともほかの素材が・・・ 飛んでる人間の考えることは、常人の発想を超えていますね。
この先生には師匠がいました。すでに他界されましたが、生前はある自動車メーカーの写真の仕事を請け負っていました。当時はどこもやっていなかったカラー写真の自家処理をしていたので、機密保持の意味合いもあったようです。企業からも信用された人物でした。
「車ごと入れるスタジオが夢だ」と、この師匠から直接聞いたことがあります。跡取りの御曹司は、諦めて普通の写真館をやっていますが、愛弟子がその夢を実現しました。動機と目的はどうあれ、立派な弟子です。