2009/09/30(水)写真集は編集が大切

 デジタル編集の写真集に人気が集まっています。「世界で1冊」という謳い文句にも魅力を感じます。複製品は何冊でもできますが、1冊しか作らなければ「世界で1冊」に違いありません。

 写真集を作る際に、大切な要素は編集です。もちろん元になる写真が一番大事なわけですが、編集次第で見栄えが大きく変わります。
 絵心のある人で、画像処理ができるのなら、自分の手で編集するのが最善の方法です。自分が納得できる仕上りになるのと、コストダウンが期待できます。

 写真集の制作でコスト高になる要因は編集作業です。普通はテンプレートが用意されていて、写真をハメこんでいくだけですが、これだと仕上りがいつも同じ体裁となり、納得できないことがあります。「世界で1冊」というのは、写っている本人は世界で一人・・くらいの意味しかありません。

 デザイナーにオリジナルの編集を依頼すると高いものにつきます。自分でレイアウトした「完全原稿」なら、テンプレートにハメこむ作業が必要ないから手間が省けます。
 完全原稿の場合、制作側は、そのまま出力して製本するだけで済みます。一般的に、画像処理加工は外注が多いので、1工程減らせるメリットはバカになりません。

 とはいっても、そのまま出力できる完全原稿を作れる人は少ないでしょう。制作側の出力方式やフォーマットサイズに合わせる必要があります。
 RGBかCMYKか、dpi数はいくつか、ファイル形式はepsかJPEGかなど、正確な情報がないと完全原稿は作れません。

 編集まで手が回らない場合は、せめて元になる写真データに手を加えて、そのままテンプレートにハメこまれてもいいようにしておきます。リサイズは制作側に任せればいいでしょう。

2009/09/29(火)時代のトレンドは写真集

 写真のデジタル化で衰退傾向の写真アルバムですが、伸びている分野もあります。デジタル編集の写真集です。大量印刷の本と違い、1冊から制作できるようになりました。

 出力方式は、おおまかに分けて2つあります。銀塩プリントとオンデマンド印刷です。どちらも一長一短で、どちらか一方が優れているというわけではありません。違いは好みのレベルです。
 印画紙での製本は、素材の性質から部厚く重厚な仕上りとなります。印刷出力は、紙厚が薄いので市販の写真集本に近い体裁になります。

 カラー印画紙は吸湿性があり、表面にラミネートをかけないと湿気で印画紙同士がくっついてしまいます。その代わり、画質がよいのと耐久性が高いのが特長です。同じ物を量産してもコストは あまり変わりません。
 オンデマンド印刷は、市販の写真集本と同等です。量産した場合は、1冊あたりのコストは安くなります。耐久性は、印画紙よりも劣りますが、写真集の商品価値としての寿命はそれほど長くないとみれば、問題にするほどの違いはないでしょう。

 インクジェットプリンターの出力からでも写真集は可能です。染料インクは水に弱いので顔料インクを使います。擦れて傷つきやすいため、表面にラミネート加工をしないといけないのは印画紙と同じです。
 ユーザー感覚では、インクジェット出力はコストが安いと考えがちですが、業者レベルでは、印画紙のほうが安く上がるというのが実状です。素材が安い代わりにプリンターが高額という相反関係です。

 コストの違いは、国産か海外生産かにもよります。ブライダル写真集の多くが海外生産に移行しました。納期が1ヶ月以上かかるようなら、海外生産だと思います。
 その割にブライダル写真集の価格設定が安くないのは合点がいきませんが…

2009/09/28(月)写真コーナーで貼る

 いまでも「コーナー」を愛用している人がいます。フリー式でない紙だけの台紙に写真をレイアウトするアイテムです。四隅を袋状のパーツで留めるだけなので、簡単に写真が外せるのが特長です。

 中性紙の台紙なら変色の原因にはなりませんが、表面をカバーする透明シートがない分、長期保存性は劣ります。
 また、モノクロ印画紙と違い、吸湿性のあるカラー写真には不向きです。写真同士がくっつく可能性があるからです。(カラー印画紙にプリントしたモノクロ写真は カラー写真と同じです)

 インクジェット式のプリンターで印刷したものも、コーナーで留めるのは感心しない方法です。染料インクは色写りの可能性があるし、顔料インクは擦りあって傷つくことがあります。
 写真コーナーは、本物のモノクロ銀塩写真に限って有効なファイル方法です。懐古趣味で使うのは、間違いの元ですね。

 普通台紙に糊貼りする方法もあります。やはり、モノクロ銀塩プリントに限った方法です。台紙も糊も写真に悪影響を与えない中性素材が原則です。
 台紙は何とか調達できたとして、問題は糊です。以前に紹介したスクラップブッキングの用品を発売している Kuretakeから、「おやっとのり」という名前で供給されていました。強粘着テープもあります。

 写真糊の最大需要先は、かつては写真館でした。写真を台紙に貼るために品質のよい専用の糊を使っていました。バライタ印画紙の時代です。
 レジンコートされたRCペーパーになって、ボンド系の糊に替わりましたが、セロテープや両面テープへの切り替えが進んで、写真糊のほとんどは姿を消します。何十年という長い年月の保存を考えれば、テープ類の経年変化が著しいのは自明のことですが・・・

 作業の効率化やコスト削減で、長期保存性を犠牲にするのは、記録を後世に残すという写真館本来の使命を放棄することになります。
 いまでも銀塩のモノクロ写真をメニューに入れている写真館は、珍しい存在になりました。暗室自体が使われなくなって、物置代わりになっているところが多いみたいですね。
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