2012/12/28(金)究極の三脚はパワードスーツ?
重たい三脚を担がせるためではありません。超望遠レンズなど重量機材を手持ちで撮影するのが目的です。小型カメラを構えるのと同じ感覚でサンニッパやヨンニッパが使えるようになるでしょう。
米陸軍用に開発された外骨格パワードスーツ「HULC」は、90kg の荷物を楽に運べ、短時間なら時速 16km で走れるそうです。昔あった米 TV 映画「超人ハルク」と同じスペルですね。ピンチになると緑色の肌の巨人に変身するやつです。「酸化セリウム」の先生が好きでした。
この装置なら大抵の撮影機材は手持ちで扱えるはずです。リチウムイオン電池は普通の歩行速度で約1時間というから、電池が切れた途端に往生するハメになりそうですが・・・
肩と腕の負担を軽減するだけでよいなら、部分的なパワーギブスで済みそうです。力を加えないと動かないようにセットしておけば、無理せずカメラを同じ位置に固定できます。三脚の機能を代用できそうです。ただし、部分的なギブスでは腰にきそうな気がしますが、その点はどうでしょうか?
ワンチャンス一発勝負のパパラッチは、サンニッパかヨンニッパを手持ちです。彼らにはパワーギブスは必要なさそうです。あると便利なのはスポーツ写真やカーレースなどの連続した撮影です。
応答速度の問題があって、スポーツ写真などに応用できるようになるまでには、まだだいぶ時間が掛かりそうです。細かい操作をするために素手でカメラを保持するとなると、手首がもつか?といった課題もあります。
寝たきり老人を少しの力で抱き上げられるレベルに、やっと到達した段階です。自由に機材を扱えるようになるのは、まだまだ先の話です。それまでは三脚のお世話になるしかないでしょう。
それとも大リーグギブスで鍛えるか・・・ インド版の「巨人の星」ができたとか言ってましたね。
2012/12/27(木)雲台は縦位置が苦手
重量のある超望遠レンズや大口径の望遠ズームは、専用の三脚座がついていて、雲台につけたまま鏡筒が回転するようになっています。これならカメラの重心がセンターから大きく外れることはなくなります。
手持ちで撮るときは三脚座が手に当たって使い辛いことがあります。雲台取付ネジを上向きにすれば手になじむはずです。三脚座が取り外しできるレンズもありますが、天体望遠鏡の鏡筒バンドみたいな方式だと、三脚につけたとき安定感に欠ける感じがします。マニュアルフォーカス時代のタムロン SP80-200mm F2.8(30A)がこの方式でした。ズームが摺動(直進)式だったから手持ちでの撮影を優先したんだと思います。
同じ時代の反射式望遠レンズでタムロン SP500mm F8は、初期モデル(55B)だけ取外し式の三脚座がついていました。ネジ2本で本体に固定する方式なのでしっかりしていました。本体側にある別のネジを緩めると鏡筒を回転させて縦位置にすることができます。
次期モデル(55BB)から三脚座を撤廃してしまったのは、レンズ本体が軽かったため三脚座を使うとカメラぶれを起こすというのが理由でした。カメラ本体の三脚ネジを使ったほうがブレにくかったそうです。55BB には鏡筒が雲台プレートに当たらないよう、ボディーに下駄をはかせる三脚スペーサーが同梱されていました。この取付方法だと縦位置は雲台側で行う形です。
人物写真では縦位置で撮影することがほとんどです。マミヤの中判カメラは、フィルムバックが回転するリボルビング方式を採用しています。RB や RZ を載せた雲台を横に倒して使うなんてのは、考えただけで恐ろしいことです。ウエストレベルファインダーの場合、フレーミングはどうするんでしょうね。
アイレベルファインダーの PENTAX 645 は、カメラの底と側面に三脚用のネジ穴があります。クイックシューを使えば、本体を抜き差しすることで迅速に縦横変換できます。
シックス判のハッセルブラッドは、画面が真四角なので、縦位置・横位置の区別はありません。二眼レフも同様です。デジタルカメラでスクエアフォーマットはありませんが、カメラスタンドに載せっぱなしのカメラだったら真四角でもいいように思います。
2012/12/26(水)変り種のクネクネ雲台
特殊な形状を採用することで、軽量小型でも頑丈な雲台がありました。マンフロットの #056 です。基本的には 3WAY 雲台ですが、作りが変わっています。左右のスイングは普通の雲台と同じです。ほかの動きが違います。
縦方向のティルトノブを緩めて前に倒すと、カメラプレートが 180°回転して裏返しになります。傾きを調整するノブを緩めて左に倒すと、カメラプレートがこれまた 180°回転します。この独立した二つの動きを組み合わせることで、カメラをどんな方向にも向けられるのが特徴でした。
ストッパーをすべて緩めると、各支点を軸にカメラがクネクネ動きます。その動きから 3D 雲台と言われていました。普通の 3WAY 雲台の感覚とは違うので、最初は戸惑います。どのネジを緩めてどう動かしてよいのやら、試行錯誤しながらカメラ位置を決めることになります。
自由雲台は、カメラを逆さまにすることはできませんが、カメラ位置を決めるのは簡単です。マンフロのクネクネ雲台が普及しなかったのは、扱い方が難しかったからだと思います。
それともうひとつ難点があって、通常の横位置以外にセットすると、カメラの重心が三脚のセンターから外れます。縦位置にしたときに重心がそれるのは、どの雲台でも同じですが、クネクネ雲台はそれが顕著でした。真下に向けてマクロ撮影をするときなど、カメラが三脚の中心から大きく離れます。便利な反面、気をつけないとブレやすいのが欠点でした。
#056 はストッパーがネジでしたが、後から出た #115 はスーパークランプと同じレバー式に変更されています。レバーの角度が変えられるフリーストップ機構は、プロには馴染みがあった反面、アマチュアは使い方に戸惑いがあったようです。(レバーを手元に引いて回すのがね)
どちらもいまでは製造中止となっているようです。現行品にギア式の 3D 雲台で中型の #410 とプロ向けの #405 がありますが、可動範囲はクネクネ雲台よりもかなり狭くなっています。