2012/03/05(月)土星の輪が写る超望遠
野鳥や天体の撮影に使われるコリメート法も特殊な光学系です。人間の目で望遠鏡を覗いて見えているなら、カメラでも同じように撮れるだろう・・という発想です。カメラのレンズが水晶体、撮像センサー(またはフィルム)が網膜の代わりです。
対物レンズの焦点距離が仮に 1000mm あったとしても、直接焦点で土星の輪はハッキリとは写りません。目を凝らして、かろうじて耳がついているように見える程度です。アイピース(接眼レンズ)を使って拡大することで、ようやく土星の輪を撮ることができます。
カメラの撮影レンズを省略して、アイピースだけで拡大する方法もあります。レンズが外せる一眼レフは、こちらが主流です。カメラ側のレンズ性能に左右されないシャープな画像が得られるからです。
より高倍率を得る条件は、[1]対物レンズの焦点距離を長くする、[2]アイピースの焦点距離を短くする、[3]アイピースと撮像面の距離を遠くする、この3つです。
眼視の倍率は、[対物レンズの焦点距離][÷接眼レンズの焦点距離]ですが、カメラ側のレンズを使わない撮影法では、アイピースは拡大投影用です。アイピースの焦点距離が短く、撮像面から離れるほど投影像は大きくなります。
拡大率=[撮像面までの距離]÷[アイピースの焦点距離]-1
この拡大率を対物レンズ(主鏡)の焦点距離に掛けたのが、合成焦点距離です。
この方法を使うと合成焦点距離が 10000mm なんて超々望遠も可能です。ただし、F 値は[合成焦点距離÷対物レンズの口径]だから、口径 80mm の望遠鏡だと F125 になります。かなり暗いですね。
それでもケンコーのピンホールレンズ(F250)の4倍の明るさがあります。高感度対応のデジカメと三脚があれば、日中の景色は撮れるでしょう。