2012/05/23(水)三層構造vs.モノクロセンサー
FOVEON は、撮像センサーを三層重ね、途中にカラーフィルターを挟んだ独特の構造です。表から見た1素子分の面積で三原色の情報が得られます。カラーフィルムに似た構造です。
そのため偽色の発生はないとされています。モアレ(干渉縞)が出る確率も下げられます。ローパスフィルターは不要で、デジタル式らしいシャープな画像が得られるのが特長です。
シグマが FOVEON 社を買収した関係で、この三層構造センサーは、今のところ同社だけが採用しています。ライカがフルサイズで採用したら話題騒然でしょうが、当面その可能性はなさそうです。
今回のライカMモノクロームに搭載される撮像素子は、135 フルサイズで 1800 万画素です。一方、シグマ SD-1 は APSC サイズで 1536 万画素。メーカーが言う三層構造で3倍の 4600 万画素というのは、カラー情報を加えての話で、モノクロ写真が目的なら、表から見える素子数で比べるのが順当です。
カラー写真を中心に、たまにモノクロ写真という場合は、SD-1 のほうが利用価値があります。ほかにカメラを持っていて、本格的なモノクロ写真を撮りたいなら、やはりライカのほうに軍配が上がるでしょう。価格? それはまた別の問題です。
SD-1 の発売時価格は 80 万円でした。FOVEON センサーの歩留まりが悪かったからだと言われています。これがライカブランドだったら価格的には何の抵抗もなかったと思います。現在の実販価格は値下げされて約 20 万円です。
これを安いみるか、まだ高いとみるかは、人それぞれです。モノクロセンサーを搭載した専用機が出ることで、FOVEON センサーが再び注目される可能性はあると思います。
「酸化セリウム」の先生の御曹司によると、ライカのモノクロ専用機は赤外感度がないそうです。どうやら赤外感度が比較的高い M8 か、価格的に安くなった SD-1 あたりを考えているみたいです。