2012/05/28(月)レンズ交換式のコンデジ

 元祖 4/3 にあまり興味を持たなかったのは、自分が期待したデジタルカメラと、ちょっと違ったからだと思います。初代 4/3 機が APSC フォーマットというなら称賛したかもしれません。110 フィルムに近いフォーマットサイズで、あの大きさになるのが、どうしても合点がいきませんでした。価格的にもリーズナブルではなかったように思います。
 フィルム式とデジタル式は別物と言いながら、フォーマットサイズに拘るのは、旧タイプ人間の証しでしょうか?

 当時、自分がデジカメに求めていたのは、フィルム並みの画質ではなかったから、レンズ交換ができるコンパクトカメラ程度に考えていたのかもしれません。いまでいう普及型ミラーレス機みたいな感覚ですね。初代 4/3 機は、ちょっと敷居が高い印象を受けました。
 4/3 フォーマットの一眼レフを愛用しているユーザーの中には、「信徒」に近い信奉者がいます。高いお金を出して新しい規格のカメラを買ったんだ!という気概を感じます。

 実際には、それほど多くは売れなかったと思います。新規格だから開発費が掛かっているのはわかりますが、手元に 135 判の交換レンズがあるのなら、APSC 機にしたほうが安上がりでした。
 それにもかかわらず新規格の 4/3 機を買ったユーザーをメーカーは見捨ててはいけませんね。背に腹は替えられない事情があってもです。

 オリ・パナ陣営が息を吹き返したのは、マイクロ 4/3 の投入からです。ニコン・キヤノンの向こうを張った、ミラー式の一眼レフを捨ててからでした。一眼レフというジャンルが、特異な世界だったのかもしれません。
 ひょっとして一般大衆が求めていたのは、ミラー式の一眼レフではなくて、レンズ交換ができるコンパクトカメラだったのでは?

 それを裏付けるかのように、ニコン1シリーズと、PENTAX-Q は善戦しています。ニコン1は値下がりして価格的に値ごろ感がありますが、Q のほうは高止まりなのに売れているみたいです。どちらもマイクロ 4/3 より小さいフォーマットで、カメラ本体もコンパクトです。
 レンズ交換ができるコンデジ・・・ スマートフォンに押されて低迷するコンデジ市場を救うキーワードは、「レンズ交換」のような気がします。仮に追加の交換レンズが売れなくても・・です。

2012/05/27(日)ものごとには段階がある

 フィルム式カメラの代表格は 135 サイズでしたが、デジタル式の撮像センサーを同サイズにするのは、当初はコスト的に無理がありました。一眼レフボディーを流用する一案として APSC フォーマットが採用されました。これならいままでの資産が、流用できそうです。

 アナログとデジタルでは方式が違うので、フォーマットサイズやカメラマウントを合わせる必要はなかったのですが、手持ちの交換レンズを流用したいというユーザーニーズに便乗したのが、キヤノン・ニコン・ミノルタ・ペンタックスの一眼4社です。
 フィルム時代のレンズで実用に耐えないものがある事実を伏せての便乗でした。営業上の政策とはいえ、罪深いことをしたものです。

 それに対抗して、デジタルカメラ独自のフォーマットを策定しようとする動きがありました。フォーサーズ(4/3 インチ)規格です。一眼レフシステムが崩壊していたオリンパスと、新興勢力のパナソニックが乗りました。
 1インチ以上とは、ずいぶん大きい感じがしますが、サチコン管の規格なので、実際には 110 フィルムに近いフォーマットサイズです。135 フルサイズと比べて面積で 1/4、焦点距離で 1/2 の差があります。ずいぶん小さいですね。

 110 フィルムに近いフォーマットなら、PENTAX auto-110 みたいな小さいカメラになると思っていたのに、実際に登場したデジカメは、かなり大きなものでした。ミラーボックスのある一眼レフです。(注:auto-110 も一眼レフ)
 あまり小さすぎても使いにくいのは事実ですが、もう少しコンパクトに収まってもいいように思いました。ミラー式の本格的一眼レフに拘ったのがアダだったかも?

 マイクロ 4/3 は、電子式ビューファインダーの実用性が見えてきた時点で導入された規格です。これで一眼レフからミラーをなくすことができました。ミラーレス機がヒットするきっかけを作ったのは、オリンパスのペン E-P シリーズです。スペック的にはまだ、レンズ交換ができる高級コンデジみたいなカメラでした。それにしても初代 E-P1 は、あの価格でよく売れましたね。

 元祖 4/3 規格の存続を望む声を耳にしますが、それは希望的観測に終わりそうです。ものごとには順序と段階があります。4/3 規格はマイクロ 4/3 に集約されていくでしょう。レンズ資産が使えるのが、せめてもの救いです。

2012/05/26(土)一眼レフはフルサイズに?

 ミラー式の一眼レフはフルサイズ化され、APSC 以下のフォーマットは、ミラーレス機に集約されていくという予測があります。ニコン・キヤノンの2大メーカーの動きからも、その傾向は見てとれます。まだ自社から APSC クラスのミラーレス機は出していませんが、様子見といったところでしょう。

 その一方で、フォーマットの大きいカメラほどミラーレス化のメリットがある、との意見もあります。APSC よりフルサイズのほうがミラー機構が大きくなるし、光学式ファインダーも大掛かりです。ノンレフレックスで電子式ファインダーにすれば、かなり小型軽量化できるのと、大幅なコストダウンが期待できます。
 これも一理ありますね。

 デジカメ黎明期に、メーカーの人に見せてもらったコンデジの試作機は、ファインダーがありませんでした。もちろん今では当たり前のことですが、当時のコンデジにはフィルムカメラと同様に、光学式ファインダーがついているのが普通でした。ファインダーのないカメラなんて・・・
 果して受け入れられるだろうか?と心配そうでした。ファインダーがないぶん液晶モニターが大きくできます。小さなカメラの背面いっぱいに大きな液晶モニターがついていました。

 一瞬戸惑いましたが、「いいんじゃないの、液晶が大きいし」と言うと、ニッコリ笑って「よかった」と胸をなでおろしていました。カメラにはちょっとうるさいタイプと思われていたから、安心したみたいです。本当は使うつもりのないコンデジのファインダーなど、どうでもよかっただけですが・・・
 当時はコンデジからファインダーをなくすだけでも、メーカーにとっては社運をかけた一大事でした。あちこちで意見を聞いて周っていたようです。

 そのとき、「これって一眼レフと同じじゃん!」と思いました。写る範囲が TTL でリアルタイムに、液晶画面に表示されています。見づらいけどピントも確認できます。マクロ撮影でもパララックスはありません。これでレンズ交換ができたら・・・
 写真業界では、フィルムが売れなくなるのを心配していましたが、消費者にとっては手段の変化でしかありません。それよりも一眼レフが大きく変わるとの予感を持ちました。

 実際にはカメラメーカーの思惑もあって、予想したほどの変化はなかったように感じます。ここにきて、ようやく大きく変わろうとしているようです。それにしてもミラーをなくすのに、ずいぶん時間が掛かりましたね。
OK キャンセル 確認 その他