2012/04/21(土)スマホカメラの高画素化

 スマホに内蔵されているカメラが高性能化して、コンデジが売れなくなってきているそうです。カメラ自体がよくなったのもありますが、エフェクトなど画像処理機能が豊富なのが影響しているみたいです。スマホはパソコンに近いデジタル機器です。

 ノキアが、スマホに 4100 万画素のカメラを内蔵すると発表したときは、ただのこけおどしで実用性がないと踏んでいましたが、かなりの実力のようです。
 4100 万画素とはいっても、実際には静止画で 800 万画素以下を想定しています。最大で 3800 万画素の静止画も記録できますが、キメが細かいだけで、おそらくメリハリのない低画質だと思います。画素数を下げることで、画にメリハリをつける方式を採用したわけです。

 もうひとつの特長は、デジタルズームで拡大しても画質の低下が少ないことです。静止画はもちろん、動画も 1080p 30fps で高画質のデジタルズームが使えるそうです。
 この発想は、すでにデジカメで実用化されています。同じ方式かどうかはわかりませんが、ノキアは高画素センサーの画素数を落として実現していると思われます。

 以前に CM 動画を見たときは、レンズは Carl zeiss 24-74mm F2.4(?)となっていました。ヨーロッパでカールツァイスのブランドは、絶大な信頼があります。
 この焦点距離は、光学ズームではなくて、静止画のときの 135 換算のデジタルズームでしょう。現在は 26mm F2.4 で×3という表示になっています。動画は 1080p で4倍ズーム、360p にサイズを落とせば 12 倍ズームまで可能です。

 撮像センサーは 1/1.2 インチというから、一般的なコンデジやスマホに使われているものの約4倍です。4100 万画素というのも肯けます。
 41M pixel は宣伝用のこけおどしとしても、8M pixel のカメラとしてみればかなりの高性能です。こんなのが当たり前になったら、普通の撮影でデジカメの出番はなくなるでしょうね。

2012/04/20(金)ダイナミックレンジとHDR

 複数の画素情報をまとめて高画質化を図る技術は、民生機でも使われています。FUJI FinePix S3/S5 では、スーパー CCD ハニカムの2つの素子(S 画素と R 画素)を合算し、ダイナミックレンジを広げる方法を採用しました。
 それまでの内部補完で画素数を上げる方式と違い、各 617 万画素を両方足して、1234 万画素の仕様表示ができるようになりました。2つの素子情報をひとつにまとめれば、画素数は半分になりますが、高感度対応と D レンジの拡大が図れます。

 他社のデジカメで画素数を半分に減らした場合は、画像情報の半分が間引されるだけです。データが軽くなる以外にメリットはありません。もったいない話ですが、2素子を合算して D レンジを上げる技術は、同社の特許なんだそうです。
 どこまで進化するのか楽しみにしていましたが、最近は鳴かず飛ばずの状態です。撮像素子の開発よりも画像処理エンジンの改良のほうが、コスト的に有利なせいかもしれません。

 露出の違う複数の画像データを利用してダイナミックレンジを広げる HDR 合成は、ほとんどの機種に採用されるようになりました。スマホのカメラにも使われています。
 ただし、合成写真イコール偽物的なイメージがあって、はっきり HDR と謳っていないケースもあるようです。実際には複数のカットを後から合成するのではなく、同時に記録された画像情報をその場で内部処理して、1コマに仕上げる方式が採られています。わざわざ HDR と謳わずに夜景モードなどに利用している機種もあります。

 この技術は、デジタルズームにも使われています。光学レンズの望遠側では足りないとき、ソフト側で拡大するのがデジタルズームです。仮に 1.4 倍(面積で2倍)に拡大した場合、瞬時に2コマ撮影して合成すれば、画質の低下を軽減できます。
 ついでにダイナミックレンジも広がれば、一石二鳥です。デジタルズームをインチキ呼ばわりできない時代がやってきたようです。

2012/04/19(木)業務用バックのカラービニング

 仕事以外にデジタル写真を使わないのは、画の調子が好きになれなかったからです。粒子の見えないサービス判くらいの大きさのプリントでも、フィルム原板かデジタルデータかは、見れば大体わかります。人の顔が写っていたら、まず当たりです。

 デジカメの性能がよくなり、画像処理エンジンが進化したことで、デジタル写真独特のクセ(というかイヤ味)が、目立たなくなってきました。そろそろデジカメで遊んでみようと思ったのは、そんな状況になったこともあります。
 デジカメの画質は、まだよくなる可能性があります。高画素化は、もう十分という意見がある一方で、もっと高い画素数を望む声もあります。高画素化することで、別の技術が使えるからです。

 カラービニングという技術があります。いくつかの画素情報をまとめて、ひとつのピクセルにする方法です。画素数は落ちますが、画質の向上と高感度化が図れます。(天体写真に使うモノクロ CCD のビニングは、感度を上げるのが目的)
 たとえば、ベイヤー配列の RGBG 4素子をひとつのピクセルとして扱うのもカラービニングの一種です。いままでは、隣近所の色情報をもらって補完し、本来は1色しか感じないはずの素子をカラーピクセルに仕立てて、画素数を稼いできました。実用以上の画素数になれば、1/4 に減らして画質を上げたほうが得策です。偽色の発生が抑えられます。

 業務用のデジタルバックには、この方法が使えるタイプがあります。フェーズワンの Sensor+ という機能です。メーカーは、スーパーピクセルと読んでいますが、カラービニングの典型例です。
 画素数を 1/4 に落とすことで、感度を4倍に上げてもノイズレベルを同等に抑えることができます。明るいレンズがない中判カメラには、有効な方法です。

 業務用バックは RAW データでの記録が基本です。スーパーピクセルは、間引きとは違うから、画素数を減らしても画質が落ちる心配は不要です。画像データの容量が小さくなるぶん、作業の効率化が図れるのがメリットです。
 アマチュア用機材にもこうした技術が使われるといいのですが、高画素一辺倒で、ほとんど見かけないのは残念です。
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