2009/01/30(金)レフを使わないプロ

 中村正也先生には、スタジオでのライティング以外に、屋外でのポートレートもご教示いただきました。「ご教示」というより、一流のプロはレフ板を使ったり、意味のない小道具を使ったりしない・・・つまり何もしない、ということを学びました。

 ロケは名古屋城の敷地内でした。アマチュアカメラマン対象のモデル撮影会です。人気のある写真家だけに、大勢のカメラマンが集まりました。
 撮影場所は主催者側で決めていましたが、場所が空いていれば多少の変更はできます。「先生、どちらのほうで?」と聞くと、木が繁った林の中へ歩いていきました。

 「ここら辺で・・」と言います。晴天でしたが、そこは木陰になっていて直射日光は当たりません。レフ板を入れようにも、木立のなかでは光を起こせる場所はほとんどありませんでした。
 一応念のために「先生、レフ板は?」と聞くと、「いりません」の一言です。

 正也先生の助手を・・とばかり意気込んでいましたが、何も手伝うことはありません。石垣を登ろうとするひとに、「危ないからやめてください」と注意する程度の仕事です。
 多分、主催者側が用意した80cmくらいの銀レフなら、使わないほうがマシと考えたのだと思います。先生のロケ仕事だったら、もっとデカいレフ板を使うでしょうね。

 林の中は陽がないから、F値の暗いズームではISO100だと1/60秒がやっとです。「ここ1/30だよ」と、ボソッと言うカメラマンもいましたが、大御所が選んだ場所だから、表立って文句を言うわけにはいきません。
 当時は、粒状性の問題で、女性ポートレートに高感度フィルムを使うひとは少数派でした。「400を持ってくりゃよかった」と悔やむひともいましたね。

 ピーカンの下でギンギンにレフを当てているプロもいましたが、柔らかい光のなかで余分なことは何もしない・・というのもテクニックだと学んだ一日でした。
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