2012/08/29(水)単焦点レンズの復活
ピクセル等倍まで拡大すると、レンズのアラが目立ちます。とくに周辺部では顕著です。これを「レンズの味」と捉えるおおらかな人たちばかりならいいのですが・・・
一般的に、ズームレンズで全焦点域が収差ゼロということは、まず考えられません。ワイド側は樽型、望遠側は糸巻き型の歪曲収差があるのが普通です。周辺光量の不足もワイド側で顕著です。色収差も単焦点レンズに比べて大きいのが普通です。
こうした欠点を補うだけの利便性があるから、ズームレンズが主流になったと思います。ある程度の画質であれば、レンズ交換せずに(自分が動かずに)画角が変えられるほうに魅力を感じる人は多いはずです。
フィルムの常用感度が高くなったのもズームの普及を後押ししました。それまで ISO 100 程度だったカラーネガは、ISO 400 が主流になりました。絞り値でいうと2段分です。ISO 100 で F2 と、ISO 400 で F4 は、同じシャッター速度になります。
もっとも ISO 400 が主流だったのは、日本国内の話です。海外では ISO 200 がよく使われていました。絞りで1段分です。400 に割高感があったからだそうですが、逆輸入を防止する思惑から、メーカーの営業施策だったという指摘もあります。
デジカメの高感度化が進んでいます。ISO 3200 が常用だなんて、フィルム時代には考えられない事態です。では、大口径に有利な単焦点レンズは、もう出番がないかというと、ここへきて注目されるようになりました。冒頭で触れた高画素化です。レンズの性能がシビアに評価される時代の到来です。
レンズは開放 F 値が暗いほど画質が高く、設計が簡単で低コストが図れると言われています。高感度化がレンズの低価格化につながるかどうかは、メーカーの営業施策次第でしょうね。