2012/08/14(火)ピクトロで立体コピー
既に製造を打ち切りましたが、銀塩素材を使ったカラーコピー機がありました。FUJIFILM のピクトロスタットです。フラットベッドスキャナーと一体型で、読み込んだ画像を印画紙にカラーコピーします。ピールアパートタイプのインスタントフィルムを巨大にしたと思えばいいでしょう。写真画質なので、主に写真のコピーに使われました。
このピクトロをスキャナカメラとして使っていたところがありました。大学病院です。手術で摘出した臓器をピクトロで複写していたというから驚きです。臓器は時間が経つと縮んでしまうから、その場で撮影しないといけません。手術中にカメラを出して・・・なんてやっていられないそうです。血まみれの手でカメラを触るのも抵抗があるし・・・
厚みのない立体物ならそのままコピーできることは、メーカーの宣伝資料にも載っていたと思います。ピクトロで臓器の複写を思いついたのは、そんなに突飛な発想ではないのかもしれません。それよりも、等倍の実寸で写真画質のプリントが、外部の手を経ずにできることに目をつけたのが、いかにも賢いですね。
もうひとつ賢明だったのは、カラーコピー機と違って定期的なメンテナンスが要らないことです。血でベットリの臓器を複写した機械を一般の民間人に触らせるのは問題があります。ピクトロは故障しないかぎり、メンテナンスは自分でできます。
設置先を巡回訪問していたメーカーの人が、たまたまその話を聞いて、その機械をサービスマンに触らせるのはまずいと思ったそうです。担当の先生に「万一故障のときは僕が来ます」と言ったとか・・・
企業戦士は大変ですね。