2008/10/13(月)食べ物の価値観

 このところ事故米や農薬混入の事件が相次いでいます。食の安全に対する意識が高くなったので、ニュースにとりあげられる頻度も多くなりました。
 カビの生えた事故米は、昔なら洗って食べてしまったでしょうね。

 運動会シーズンですが、パン食い競争という競技は少なくなりました。まだやってるところは、袋入りのパンです。高校生のころに体育の先生が、「一応、保健体育課だからなぁ」なんて言ってましたね。
 そのうち、嫁入りの菓子まきも「非衛生的」という烙印を押されるかもしれません。

 結婚式の引き出物も時代と共に中身が変わっています。あんこの入ったラクガンの鯛は、昔なつかしい味になりました。いまでは、しゃれた洋菓子を選ぶひとが多数派です。
 砂糖もあまり見かけません。重い割にありがたみが薄いということのようです。
 お茶は葬式のお引きという一般的な概念に対して、お茶の産地では慶事の引き出物に使うのが当たり前というところもあります。

 両家の出身地が異なる場合は、引き出物のメニューでもめることがあります。昔ながらの風習が残る地方のひとと、都会的な考えのひととでは、価値観が違います。

 中身よりも「かさ(量)」を重視する地方もあります。風呂敷包みに持ちきれないくらいの引き出物でないと値打がない!という考え方です。こういう席に招かれたら、遠方のひとは大変です。

 両家の意見が合わなくて、引き出物を別々に用意した!なんて話を聞きました。大きい葛篭(つづら)と小さい葛篭と・・「すずめのお宿」みたいですね。

2008/10/12(日)嫁入りの菓子まき

 婚礼道具をトラックに満載して、お披露目をする家が少なくなったのに伴い、「菓子まき」の風習も廃れました。都会ではほとんど見かけません。

 それでも田舎のほうでは、たまに菓子まきをするところがあります。
 姉の旦那の実家界隈は、昔から菓子まきの風習がある土地柄で、嫁入りともなると近所総出で参加します。知人や親類に声をかけて、できるだけ多くのひとに集まってもらうのがめでたい、ということのようです。

 少し前の嫁入りのときにも「総動員」の知らせがあって、一族総出で参加したそうです。(どうせ来ないだろうと、私には連絡がありませんでした)
 みんな争うように撒かれた菓子を奪い合います。御当家のひとからダンボールごと菓子をもらって運んでいたら、近所の人達に見つかって奪いとられてしまったとか・・・
 「娘がモタモタしてるから・・」と地団駄を踏んでました。姉にしては珍しい失態です。おかげで、こちらにお裾分けはありませんでした。

 物がない時代と違って、嫁入りがなくてもいつでもお菓子は食べられます。食べ物を奪い合うことへの抵抗感が強い時代に、菓子まきはそぐわないかもしれません。
 それでも、小さいころからお世話になったご近所に、結婚することを知らせるめでたい行事です。近隣とのつながりを大切にする地域では、これからも細々と続くでしょうね。

 知らない間に○○ちゃんは結婚していなくなった・・と言われないように、都会でもパーッと派手に菓子まきでもやりますかね。「いまどき珍しい」という声が聞こえてきそうですが・・・

2008/10/11(土)嫁入り道具の今昔

 婚礼というと、トラックに嫁入り道具を満載し、紅白の幔幕で飾ってお披露目するシーンを想いうかべるひともいるでしょう。
 昔の婚礼は、資産分けの意味合いがありました。

 いまでもこうした風習を残す地域もありますが、都市部で見かけることは少なくなりました。住宅事情が深く関係しているようです。

 新婚さんの住まいは、大抵アパートか借家です。狭い住居に婚礼家具は無用の長物です。立派な桐の箪笥に入れるほどの和装の着物はありません。婚礼家具一式をしつらえたものの、置く場所がなくて実家に預けたまま・・なんて話も耳にします。

 造りつけのクローゼットや家具が増えて、家具屋の出番が少なくなりました。婚礼家具を主に扱う業者は斜陽です。
 ほかの業種に転進するところもありますが、長年営んだ家具屋から業態変更するのは簡単ではないようです。閉店して土地建物を貸したり、処分したりするお店が目立ちます。

 婚礼家具から婚礼衣裳に進出したケースもあります。その会社は、スタジオ写真をメニューに取り入れて、直営とフランチャイズで店数を拡大していきました。
 一度だけそこの社長と会ったことがります。知り合いのコマーシャルスタジオが写真撮影を請け負ったときに、照明設備の件で相談に乗りました。店にドレスや衣裳がいっぱい並んでいたので、いくらくらいするのか聞いたら、「億だ!」との返事。ハッタリの強い社長です。

 その後、他の企業に営業権を譲渡してしまいました。やはり、ほかの商売は難しかったようです。
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