2012/04/24(火)デジタルズームの復権は?

 レンズ交換できないコンデジには、デジタルズーム機能が備わっているのが普通です。ただし、昔と違って大きな倍率を謳う機種は少なくなりました。2倍から4倍程度に抑えて、光学ズームの補助的に使うケースが目立ちます。
 一方、レンズ交換ができる機種の中には、デジタルズーム機能を省略しているものがあります。仕様表に書いてないということは、「ない」ということですね。光学ズーム以外は邪道とする見方が強いからでしょうか?

 デジタルズームの活用に比較的前向きなソニーですら、レンズ交換式カメラのデジタルズームについては、あまり積極的に宣伝していない印象を受けます。
 近所のスーパーに入っている家電量販店に NEX-5N のカタログがあったので、もらってきました。20 ページ立てのカタログに、16 ページの作例集を綴じこんだ立派なパンフレットです。ひととおり目を通しましたが・・・

 デジタルズームの説明がどこにもありませんでした。作例集の写真 21 点の中にも、デジタルズームの作例は見当たりません。唯一、仕様表の「その他の機能」に、小さな字で「プレシジョンデジタルズーム(1.1~10 倍)」と記載されているだけです。
 交換レンズが少ないとか、パンケーキレンズが 16mm では使いづらいとか、いろいろ言われているのに、それを補完する機能を積極的に宣伝しないのは、どうも腑に落ちません。

 デジタルズームで、インチキ呼ばわりされるのを敬遠しているんでしょうか? プレシジョン方式では、画質の劣化を避けられないケースが多発しそうです。それを指摘されたくないのか、全画素超解像技術を搭載するまで待つつもりか、それとも交換レンズの売れ行きに影響すると躊躇しているのか?
 心配するほど、レンズのラインナップは揃ってないと思いますが…

 そんなメーカーの及び腰を尻目に、この機能の利便性を発見し活かそうとする人たちが増えつつあります。こんな使い方もある、単焦点レンズは使い道が広い・・・そんな提案をメーカーからではなく、ユーザーがしているようでは、デジタルズームの復権はもうちょっとあとですね。

2012/04/23(月)デジタルズームの方式

 大口径の単焦点レンズをズーム化できるデジタルズームについて、ちょっと調べみることにしました。これはフィルムカメラにはない機能です。フィルムの場合は、プリント時にトリミングすることになります。
 デジタルズームもトリミングじゃないか!という声が聞こえてきそうですが、最近では単純な切り取りではない方式(全画素超解像技術など)が登場しています。

 ひとつは、スマートズームと呼ばれる方式です。どの解像度に設定していても最大画素数で一旦記録し、設定した解像度までの範囲内でトリミング(つまり拡大)します。
 画像ソフトを使って最大画素数のデータからトリミングするのと同じことをカメラが自動的に行なうわけです。これならサイズが小さくなるだけで画質は同じです。当然ですが、撮影時に最大画素数に設定した場合は、スマートズームは1倍にしかなりません。

 ソニーが NEX に採用しているプレシジョンデジタルズームは、画像補完を行なって画質の低下を抑える方式です。拡大率が大きくなるほど補完する情報が多くなるので、スマートズームより画質が劣る場合がありそうですが、単純なデジタルズームよりは劣化が少ないはずです。

 メーカーサイトには、「遠くのものを大きく撮れるプレシジョンデジタルズーム」というタイトルで、次のような説明があるだけです。
 「画像の中央部分を拡大表示して撮影できます。コントロールホイールを回すだけで、1.1倍から最大10倍までスムーズに拡大できます。薄型広角レンズなどの単焦点レンズ使用時に、遠くの被写体に大きく迫りたいときに便利です。」

 10 倍というのは、ちょっとやりすぎでしょうね。実際には、望遠効果よりマクロ撮影に利用されているようです。薄型広角レンズ(パンケーキ)だけでなく、大口径単焦点レンズの活用術と認識している人は、まだ少ないみたいです。

2012/04/22(日)デジタルズームの活用

 デジカメの普及期から、光学ズームとデジタルズームの違いは、ことあるごとに解説されてきました。スチール写真の場合は、デジタルズームは使う意味がない・・というのが定説です。
 デジタルズームは画面の真ん中をトリミングするから、画素数が少なくなります。光学ズームは撮像センサー全体を使うので、画質の低下はないとされています。それがここへきて、少し見方が変わってきました。

 理由のひとつは高画素化です。トリミングをするだけのゆとりが出てきました。もうひとつの理由は、画像処理エンジンの進歩です。トリミングしても画質の低下を抑える技術が使われるようになりました。
 画素数が減ってもデジタルズームのほうが有利な点があります。望遠効果を狙って拡大した場合でも開放 F 値が暗くならないことです。光学ズームでコンスタント F ナンバーのレンズは、大きくて価格が高くなります。

 決定的なのは、単焦点レンズがズームレンズになることです。単焦点レンズには、大口径のものがあります。それがそのままズームレンズとして使えるわけです。これはフィルム式のカメラにはできない芸当です。
 50mm F1.4(APSC では 75mm F1.4)が、ズームレンズとして使えれば、光学式の望遠ズームより明るくて、小さくて、しかも安く済みます。

 不思議なのは、ほとんどのメーカーがこの点を積極的に宣伝していないことです。とくにレンズ交換式の機種では、仕様表を見ればデジタルズーム機能があることがわかる程度で、特長の紹介で謳っているケースは稀です。
 長年の間に浸透した「デジタルズームはインチキ」みたいな固定観念のせいか、それとも営業政策的な観点からなのか?

 ブログに載せる程度の写真なら、大きくて重くて暗いズームレンズを無理して使う必要はなさそうです。メーカーが宣伝しなくても、実用性に気がついて活用するユーザーが増えているみたいですね。
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