2012/08/16(木)景色が撮れるスキャナカメラ

 スキャナーで立体物が撮れる「スキャメラ」には、フラット式のほかに、仏像や壺など厚みのある立体物が撮影できる「フォトマップ」というカメラタイプもあります。立体物だけでなく、建物や風景も撮影できます。それなら普通のデジタルカメラと同じですが・・・

 架台の上に監視カメラみたいな本体が載っているだけのシンプルな形状です。架台から電源コードみたいなのが出ているところをみると、スキャンしながらカメラが回転するのではないかと推察します。
 サイトを見ると、「人物・仏像などの全身撮影」のほかに、「自然景観などの 360°シームレス超高精細パノラマ撮影」とか「大型装置・船舶・自動車などの撮影」というのもあります。このカメラについては、製品を販売するのが目的ではなく、実体スキャンサービスするビジネスのようです。

 このフォトマップで撮影した画像は、京都市勧業館(みやこめっせ)と愛知県のリトルワールドに展示されています。みやこめっせは、実相院の室内から庭を望む写真を展示しています。秋のもみじが床に写りこんだ「床もみじ」が印象的でした。(サイトの写真は「床みどり」)
 室内の柱や襖のパースがきっちりしていて、大判のビューカメラで撮影した写真に見えます。近くに寄って説明文を読むと、スキャメラ・フォトマップで撮影となっていてビックリしました。この手の写真は大判フィルムの得意ジャンルでしたが、デジタルもここまできたか、といった感じです。

 リトルワールドのほうは、世界遺産マチュピチュのパノラマ写真です。「幅約20m×高さ約4.3mの巨大パネル展示」となっているから、かなりデカイ写真です。去年の9月から展示されているそうです。最近行ってないから、見てこないといけませんね。

 スキャメラ・フォトマップのサイトはコチラ
http://www.newly.co.jp/shop/p_service.htm%3c/a

2012/08/15(水)刀剣をスキャナで撮る

 商品撮影で厄介なのは光りものです。撮影経験のない写真屋がゴルフクラブの商品写真を安請け負いして、往生した話を聞いたことがあります。アイアンなんかは素人では無理でしょうね。
 料理を撮るときは、フォークやスプーンなどは、ダーリングスプレーでパラフィンの粉を吹き付けて反射を抑えます。ところが、刀剣類はこの方法は使えません。下手をすると研ぎ直しになります。刀身に手や物が触れること自体がご法度です。

 美術刀の撮影は、最も難しいジャンルのひとつで、刀が撮れるというだけで仕事になります。ノウハウは刀剣商や出版社が押さえていて、撮影テクニックは門外不出です。ネットでググッてもいいかげんな話しか出てきません。そんな中で、刀の撮影現場を紹介していたサイトがありました。上田市立博物館の収蔵品を撮影したときの様子です。
 人づてに、細長い箱を持ち込んで撮るという話を聞いたことがありますが、まさにそのとおりです。ライティングの知識がある人なら、この道具を見ればある程度の予想はつくはずです。
 こんな大掛かりなセットを組まなくても、立体物が通せるスキャナカメラがあれば、特殊なライティングなしで刀剣の画像が手に入ります。画像の出来はカメラで撮ったのとどちらがいいか、専門家に聞いてみないとわかりませんが、素人目にはスキャナで十分なように見えました。少なくとも下手なカメラマンが撮った写真よりはウンといいと思います。

スキャナで撮った刀剣はコチラのサイトを参照
 刀は長いから、レンズを通した像で記録するよりも、ライン型センサーで直接読み取ったほうが均質な画像が得られます。苦労して編み出した技の価値がなくなるのは、カメラマンにとっては辛い話です。
http://www.newly.co.jp/shop/new_value_s_sword.htm%3c/a
http://museum.umic.jp/howto/hakubutsukan.html%3c/a

2012/08/14(火)ピクトロで立体コピー

 「スキャメラ」でなくても普通のフラットベッドスキャナーで立体物のスキャンは可能です。腕時計など厚みのないものは、写真や書類と同じように簡単にセットできます。ガラスの反射や映り込みはありません。

 既に製造を打ち切りましたが、銀塩素材を使ったカラーコピー機がありました。FUJIFILM のピクトロスタットです。フラットベッドスキャナーと一体型で、読み込んだ画像を印画紙にカラーコピーします。ピールアパートタイプのインスタントフィルムを巨大にしたと思えばいいでしょう。写真画質なので、主に写真のコピーに使われました。

 このピクトロをスキャナカメラとして使っていたところがありました。大学病院です。手術で摘出した臓器をピクトロで複写していたというから驚きです。臓器は時間が経つと縮んでしまうから、その場で撮影しないといけません。手術中にカメラを出して・・・なんてやっていられないそうです。血まみれの手でカメラを触るのも抵抗があるし・・・

 厚みのない立体物ならそのままコピーできることは、メーカーの宣伝資料にも載っていたと思います。ピクトロで臓器の複写を思いついたのは、そんなに突飛な発想ではないのかもしれません。それよりも、等倍の実寸で写真画質のプリントが、外部の手を経ずにできることに目をつけたのが、いかにも賢いですね。

 もうひとつ賢明だったのは、カラーコピー機と違って定期的なメンテナンスが要らないことです。血でベットリの臓器を複写した機械を一般の民間人に触らせるのは問題があります。ピクトロは故障しないかぎり、メンテナンスは自分でできます。
 設置先を巡回訪問していたメーカーの人が、たまたまその話を聞いて、その機械をサービスマンに触らせるのはまずいと思ったそうです。担当の先生に「万一故障のときは僕が来ます」と言ったとか・・・
 企業戦士は大変ですね。
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