2012/10/14(日)画像の乱れもレンズの味のうち

 これはまったく個人的な見解ですが、画面周辺の光量不足や画像の乱れは、それ自体がレンズの味の一部だと思います。計測の結果、絞り開放の周辺減光が -2EV なら確かにそうだろうし、解像力が中心部の半分しかなければ確かにそうでしょう。でも、それがどうしたと言うの?

 文献や方眼紙を精密に複写するのならともかく、風物全般の撮影で「画面の四隅が・・」と問題視されるようなことは、まずないはずです。周辺画像が甘く、暗く落ち込んでいたほうが、主要被写体に目がいって、かえっていいかもしれません。モノクロ時代には、画面の周辺を焼き込んで、わざと暗くしたものです。

 レンズの特性を知る上で、チャートによるテストは大変参考になる情報だと思います。ただし、撮影目的に関係のない情報は、無視するようにしています。例えば、ソフトで柔らかい描写を期待するポートレート用のレンズに、開放から切れるような解像力は必要ないわけです。
 スポーツ写真が目的のレンズなら、四隅の解像力が不足していても、十分実用できます。周辺部の画質より AF も含めた速写性のほうが大事です。シグマが、レンズごとに撮影目的に合う表示方法を考えているそうてすが、理にかなっていると思います。

 フィルム時代のカメラで、写りが気に入ってよく使っていた TIALA は、周辺が光量不足でガタ落ちのクセのある描写でした。28mm F3.5 の単焦点です。とくに最短撮影距離の 35cm で撮ると、その特性がモロに出ます。常時発光のストロボ光が旨みに効いて、周辺がドーンと落ちたシュールな描写が魅力でした。
 コンパクトカメラにしては珍しく、リバーサルフィルムでもよく写りました。とくに Velvia 50 との相性がよかったように思います。「酸化セリウム」の先生も愛用した玄人好みの写り方でした。

 後に発売された APS フィルムの TIALA ix は、メーカーの人の話では四隅までシャープに写るそうです。「どうですか」と勧められましたが、「それなら要らない」と言うと、変な顔をしていました。四隅の乱れがない TIALA なんて買う意味がありません。
 フォーマットサイズが小さいほうが、隅までシャープなレンズを作りやすいんでしょうね。
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