2012/10/17(水)高画素化でローパスレス

 シグマが採用している3層構造の FOVEON センサーを除いて、市販のデジタルカメラに使われているカラー撮像センサーは、ほとんどがベイヤー配列です。RGB+G の4素子一組でカラー情報を得る方式です。グリーン(G)が倍の2素子になっているのは、緑感度の高い人間の眼に近づけるためです。
 カラー情報を得るのに4素子を使うとなると、撮像センサーの画素数が 1/4 に減ってしまうように思われますが、実際には近隣の色データから補完して、そのままの画素数で出力する仕組みになっています。

 元は1素子で1色しか感じないので、データ補完すると本来ない偽色が発生する可能性があります。そこで撮像センサーの前にローパスフィルターを置いて画像を散らし、偽色とモアレ(干渉縞)が出ないように工夫しています。その結果、画像が少し甘くなります。
 実際には撮像センサーのサイズが小さいコンデジには、ローパスフィルターは使われなくなりました。高画素化で撮像センサーの解像力が高くなったため、レンズの解像力のほうが相対的に低く(画像が甘く)なり、ローパスフィルターでボカす必要がなくなったからです。

 高画素化がこのまま進むと、フォーマットの小さいカメラだけでなく、一眼レフでもローパスレスの機種が増えると予想されます。現に、Nikon D800 と PENTAX K5-2 にはローパスレスの機種が別に用意されています。さらにフォーマットが大きい PENTAX 645D もローパスレスです。このクラスになると、使い方はユーザーに任せようということでしょう。ローパスフィルターのない(あるいは効果を落とした)機種は、確かに解像力が高くシャープです。

 コンデジ並みの画素ピッチでよければ、フルサイズの画素数は1億画素を優に超えます。仮に 9600 万画素の撮像センサーなら、ベイヤー配列(RGB+G)の4画素を1ピクセルとして扱っても 2400 万画素の画像データが得られます。現行機種と同じ画素数ですが、偽色の発生がないためローパスフィルターは不要で、シャープな画像が得られます。さらに、広いダイナミックレンジと高感度特性の向上が期待できます。

 実際には、画素数を 1/4 に落とすような贅沢なやり方はせずに、高画素機にするはずです。そのほうが一般消費者に対するインパクトがあるからです。それでも現行機種よりも画質を向上させるゆとりがありそうです。
 高画素化に批判的な意見をよく耳にしますが、メーカーとしては開発の手を緩めることはないでしょう。結果として画質の向上につながるなら、お好きにどうぞ・・といった心境です。
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