2009/03/14(土)車の撮影は至難の技
車の商品撮影は、全体をディフューザーでスッポリ覆い、その外側からライトを当てます。光が当たっている部分と光のない部分を作って、映り込ませるわけです。
カメラも映り込むので、ディフューザーに穴を開けて、そこからレンズを覗かせます。ちょうどいいアングルが、映り込みのない場所ならいいですが、そうとも限りません。
デジタル処理で後から消すこともできますが、フィルム時代は大変苦労したようです。
ディフューザーは、撮影専用のものを使います。シーツやペーパーバックでは、色温度の低下が激しいので不都合です。白のペーパーバックを透過したストロボ光は、ほぼタングステン光と同じ色温度まで低下します。
車の撮影は、映り込みを目で確認しながらだから、普通はタングステンライトを使います。ペーパーバックをディフューザーにしたら、光量は落ちるし、色目は真っ赤です。使い物になりません。
スタジオ照明は、「光の筆で絵を描くようなもの」といわれています。絵心のないひとは、プロのCM写真家にはなれません。
全身曲面で映り込みのある車の撮影は、その最たるものでしょうね。
自動車は、無人の状態では車高が上がっています。カメラ位置はローアングルにするのが普通なので、見た目のバランスがよくありません。人が乗っている状態が、理想的な車高です。
自動車メーカーのカタログに載っている写真は、わざとウエイト(おもり)をかけて、車高を低くしています。何十キロもある石をボンボン積み込んで、人が乗っているのと同じ条件にするわけです。
石を積むことくらいは素人でもできそうですが、やはり車の商品写真は、その道のプロに任せたほうがよさそうですね。