2009/09/20(日)アートエマルジョンの活用
単に紙に塗布してプリントするといった、単純なものではありませんでした。和紙にプリントして行灯に仕立てたり、ミニ屏風仕立にしたりと、立体的な作品が多かったのが特徴でした。
新しい素材を活用するお手本としては、参考になりました。
アイデアとしては悪くないし、写真を二次元から三次元的な表現に持っていったのは、意欲的だと思います。ただ、アイデアを優先しすぎて、映像作品としての趣きに欠けていた感がありました。
遊びやパロディーならいいけど、プロによる写真的表現としては、いささか はしゃぎすぎだったように思います。
巨大キャンバスに挑戦して、ドンキホーテになった「酸化セリウム」の先生は、発案者が現代アートの芸術家だったのが、ラッキーでした。写真家の誰しもが目指す「きちんとした現像処理」が、アーティストにとって何の価値もないことを身をもって体験することができたのは、貴重な経験です。
手作りの感光材料は、どこか陶芸に通じるところがあります。作者の予期しない、灰などの自然釉のいたずらを愛でたり、一見失敗と思えるアクシデントが作品に深みを与えたりするのと、よく似ていると思います。
地元の写真家が開いたアートエマルジョンの作品展に、アイデアやテクニック偏重の匂いがしたのは、こうした予期せぬ「失敗」の要素がない、優等生の作品だったせいかもしれません。
アートエマルジョンの使用にあたっては、いくつかのコツがあります。実際に挑戦した人のテクニックを参考にしながら、偶然の「失敗」を愛でる心のゆとりを忘れないようにしたいですね。
アートエマルジョンの実用法はコチラを参照