2012/06/12(火)電動ズームと手動式

 フィルム時代から、ずーっと不思議に思っていることがあります。スチール写真用のズームレンズが、コンパクトカメラと一眼レフで、電動式と手動式にはっきり分かれていることです。コンパクトカメラは電動式、一眼レフは手動式が主流でした。

 この傾向は、デジカメになってからも基本的には同じです。何故なんでしょうね。理由はいくつかあると思いますが、いちばん大きな要素は、メーカーの都合なのかもしれません。
 コンパクトカメラに内蔵されているズームレンズは、厳密には「ズーム」ではありません。無段階にズーミングするのではなく、何段階かに分けて可変する、いわば「ステップズーム」です。

 コンパクト機にズームレンズが搭載されるようになった初期は、手動ズームでした。連続的に大きさが変えられる本物のズームレンズです。一眼レフと同じ 135 フルサイズだったので、大きくて重くなるのは仕方のないことでした。
 この方式は、すぐに姿を消します。電源を入れると沈胴していたレンズが飛び出す電動式の登場です。ズーミングも電動化されました。このときステップズームが採用されます。これにより小型軽量化とコストダウンが図られました。

 一方、一眼レフのほうは、一部で電動ズームがあったものの手動式が主流のままでした。ボタンを押して行ったり来たりは、まどろっこしいと思われたのかもしれません。
 コンパクト機と違って、小型軽量化やコストダウンには寄与せず、逆の方向に作用します。一眼レフの電動ズーム化が進まなかったのは、メーカーにもユーザーにもメリットが少なかったからでしょう。

 デジカメに動画機能が搭載されるようになり、電動式ズームを望む声が強くなっています。すでに動画を想定したパワーズームも出ています。カメラの方式にもよりますが、AF モーターや手ブレ補正のほかにパワーズームも…となると、レンズが肥大化し価格アップにつながる可能性があります。
 ここでも高画素化を活かしたデジタルズームが注目されそうです。手動ズームとデジタルズームを併用するのが、いちばん安上がりな方法です。(音も静かだし)
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