2009/04/14(火)メディア変換で商売
巷の写真店が衰退したのは、銀塩写真にしがみついて、この新しい時代の流れに乗りそこなったからだと思います。
一方、銀塩写真の加工手段を持たなかったひとは、デジタル写真の登場で業績を伸ばしました。少ない設備投資で、写真を自家処理することができます。フィルムと現像処理の要らないデジタル写真は、大幅なコストダウンになりました。
写真自体が衰退したのではなく、銀塩という手法が廃れただけの話です。写真のデジタル化で儲けたひとは結構います。
デジカメが普及し始めたとき、何軒かの写真店に、デジタル画像のメディア変換をメニュー化するよう提案しました。真剣に耳を貸すひとはいませんでした。まだ、現像・プリントで食っていける・・と思っていたようです。
「いま1日数十本あるフィルム現像がゼロになる日が来るんだよ」と言うと、皆さんキョトンとした顔をしていました。
時代は変わって、フィルム現像は1日数本にまで減りました。これでは処理液の維持ができません。ノーリツ鋼機から1日6本あれば液の維持ができる現像機が出ているようですが、新たに設備投資できる店は少ないでしょうね。
デジカメからのプリントだけでは、食べていけない写真店が多いようです。
写真画像のメディア変換に早くから力を入れていれば、フィルム現像に代わる収益源を確保できたと思います。
銀塩の原板からデジタルデータに変換する。デジタル画像をメディアに記録し、別の媒体に変換する。デジタル画像を編集し、オリジナルのプライベートなソフトを作製する・・・ 考えられるメニューはいくらでもあります。
店の人からは、「そんなことをする客はいない」という声をよく耳にしました。客がいないのではなく、そういうことをする店がないだけの話です。
写真の本質は「記録」です。きちんと保存すれば永久不変のデジタル画像ですが、何もしなければ消逸霧散してしまいます。顧客の大切な思い出を守るという、写真店の社会的使命を忘れては、存在価値がありません。
何も知らないでデジカメに乗り換えた人が大半です。銀塩からデジタルに変わって、頼れる写真店がなくなってしまったのは不幸でした。