メッセージ

2009年11月05日の記事

2009/11/05(木)大判カメラとデジタル

 コマーシャルフォトの世界では、大判のビューカメラに撮像センサーを取り付けて撮影しているところがあります。CCDの特性上、制限はあるものの、アオリが使えるからでしょう。

 デジタル黎明期では、撮像板のフォーマットサイズが小さかったので、蛇腹の繰り出しが少なくて、ほとんどアオリができませんでした。
 前を覗いてみたら、レンズはニッコールの24mm・・・なんてのもありましたね。135用の交換レンズです。蛇腹を畳んでも無限遠にピントが合うかどうか微妙です。
 現在は中判カメラ用のデジタルバックがあるから、大判用のワイドレンズが使えます。デジタルバックに適合した専用レンズまで出されています。

 もともとCCDは斜めからの光に弱いので、フィルムのように自由にアオリを使うことはできません。ティルトやスイングはもちろんのこと、スライド・シフトにも制約があります。
 パースの矯正は画像処理で何とかなるとしても、ピント面の調整が自由にできないのは不便です。

 遠くの山から近くの花畑までピントを合わせようとすると、単純に絞り込むだけでは被写界深度が足りません。ティルトを使ってピント面を調整することになります。
 レンズの光軸とフィルム面とが、斜めに大きくずれるのは、デジタル式の撮像センサーが苦手とする位置関係です。
 業務用途でいまだにシノゴのフィルムが使われているのは、こうした事情があるからでしょう。アマチュアでもアオリを多用する人は、フィールドカメラを愛用しています。

 フィールドカメラでアオリをほとんど使っていなかった人は、すでにデジタルカメラに乗り換えたでしょうね。見栄や格好で大判カメラを持っていた人にとっては、デジタルカメラのほうが経済的に有利だし、時代のトレンドだという意識が強いはずです。
 プロショップに大判カメラが処分価格で並んでいるのを見ると、何か寂しい気がします。
OK キャンセル 確認 その他