2009/11/24(火)デジカメのOEM

 銀塩カメラと違って、デジタルカメラは電子部品の塊です。筐体とレンズ以外は他社製・・というカメラメーカーもあります。部品点数からいえば、ほとんどがOEMみたいなものです。

 CCDやCMOSなどのデジタル撮像板を自社で作れるメーカーは、国内では数社しかありません。自社生産できるメーカーでも、普及機用は他社から買っているケースがあります。富士フイルムなんかはそうですね。

 「天皇」とまで言われた大西会長が退いたあとで、小森社長と一度だけ話をしたことがあります。主要パーツを自社で作ることがカギだ・・という内容だったと記憶しています。
 当時、すでにスーパーCCDハニカムを開発していて、デジカメの主要パーツの内製化を進めていました。レンズを製造するノウハウも持っています。

 部品の大半を他社から調達していたメーカーからは、フィルムカメラと比べてデジカメは儲からない・・というボヤきの声が聞かれました。台数も売上も過去最高だったのに、事業としては赤字というカメラメーカーもありました。
 「デジカメ?あれはカメラじゃない、生鮮食料品だ」と言っていた人がいました。実際には家電製品と似たようなサイクルですが、カメラ業界の体質ではハクサイやダイコンに見えたみたいです。

 これと同じような変化は、自動車業界でも起きています。ガソリンから電気に変わることで、いままでの生産システムが通用しなくなります。部品点数の多い複雑なエンジンが要らなくなり、モーターと電池があれば車が作れる時代に突入しました。
 そうなれば、自動車メーカー以外の企業(例えば電機メーカー)でも参入できます。デジカメがそうでしたね。

2009/11/23(月)カメラのOEM

 ライカCLに限らず、OEM生産のブランドカメラは、ほかにもたくさんあります。それが顕著に出たのは、APSが発売になったときです。
 APS(Advanced Photo System)は、富士・コダック・ニコン・キヤノン・ミノルタが共同開発した、世界基準の先進的な写真システムとして、1996年4月にフィルムとカメラが同時発売されました。

 富士・ニコン・ミノルタなど主要メーカーのコンパクト普及機は、外装が違うだけで中身は同じカメラでした。組立工場が同じだったからでしょう。ラインナップを揃えるのを優先したのだと思います。

 そのなかでキヤノンは、外装にステンレスを使用した小型カメラ IXY を投入しました。他社の苦戦を尻目に、IXY 一人勝ちの状態が続きます。
 この余勢をかって、デジタルカメラにも IXYの名称を使用しています。現在の IXY Digital です。デジタル化の波にのまれて普及しなかったAPSでしたが、キヤノンだけはうまいこと時流に乗って、橋頭堡を確保しました。

 フィルムからデジタルへの急速な移行で、銀塩カメラで名をはせた一流どころは、苦戦を強いられました。開発コストの低減や販売チャンネルの確保を狙った協同化が進みます。
 FUJIFILMが発売したセミ判一眼レフGX645AFは、海外では HASSELBLAD H1 として流通しています。同じく、パノラマカメラのTX-1 は、海外では HASSELBLAD Xpan の名称で販売されました。

 この他にも富士のカメラでは、KLASSEがローライブランドで売られています。2002年フォトキナのローライブースで見たときには、いささか驚きました。
 富士からSilvi F2.8という名称で、24mm内蔵のコンパクトカメラが出ると聞いていたのですが、OEM先に遠慮したのか、FUJIFILMのブースには展示されていなかった記憶があります。

 ヨーロッパ市場に食い込むには、自社ブランドよりも地元のブランドを利用したほうが、手っ取り早いということでしょう。

2009/11/22(日)幻のライツミノルタCLE

 西ドイツのライツ社と日本のミノルタが提携して世に出した、Leitz minolta CLは、今でも人気があるカメラのひとつです。日本以外の地域では、Leica CLとして販売されました。
 生産台数は、おそらくLeica CLのほうが多いはずですが、稀少品のライツ・ミノルタよりもライカのほうに人気があるのは、やはりブランド力の違いでしょうか?

 当時のライカMシリーズは、M5でした。露出計を内蔵したために、それまでのMシリーズのカメラに比べて大ぶりなのが不評でした。その反動で生まれたのが、Leica CLです。Cはコンパクト、Lはライトの略だそうです。
 不人気のM5は短命でした。生産台数が伸びなかったので、その後、中古相場が急騰します。この辺がいかにもライカですね。

 Leitz minolta CLの標準レンズは、Mロッコール40mm F2です。ライツ社の設計でミノルタが製造しました。Leica CLのほうはズミクロンになっています。こちらの製造元はライツ社です。(Mロッコールのフィルター径は40.5mm、ズミクロンは39mm)
 もう1本の交換レンズ、Mロッコール90mm F4は、ライツ社のエルマーC 90mmと中身は同じです。Made in Germany はいいけど、後で修理のときに往生した人がいたようです。

 ライツ・ミノルタのダブルブランドは、長続きしませんでした。ライツ社の経営内容が悪化したのと、CLの採算性が悪かったことが要因と言われています。
 ミノルタは、次期モデルとして開発していたCLEを自社ブランドで発売しました。絞り優先オート機 MINOLTA CLEです。Leica CLEは発売されませんでした。ライカファンは、M7まで待たされることになります。

 CLEは一見、素人目にはミノルタのコンパクトカメラです。それを逆手に、プロの間では隠し撮りカメラとして重宝されました。
 撮影禁止の場所でも、CLEなら一眼レフと違って怪しまれる確率が低くなります。美術館の入口で呼び止められるようなことは、まずありませんでした。
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