2009/11/15(日)素人のカメラ道楽

 「プロ機材ガイド」に載っているカメラは、撮影を職業にしている人達がよく使っていたものを網羅しています。もちろんアマチュアの写真愛好家も好んで購入しました。

 先日、久しぶりに訪ねた写真店で、カメラ機材を売却する話が出ました。売りたいのは自分の撮影機材ではなく、お客さんのコレクションだそうです。リストを見せてもらったら、ライカやハッセルのほかにテヒニカなんかもあります。かなりのカメラ道楽ですね。

 全部で2000万円くらい使ったとか・・・ 元値はいくらでも、いまごろ売却したのでは大した金額にはなりません。かといって、いくらかまとまったお金にしてやらないと気の毒だと言います。せめてあと5年早かったら・・・
 とりあえず、懇意にしている中古専門店を紹介しておきました。この店は、程度のいいものなら高値で買い取ってくれます。並品は自店で売らずに交換会で転売するから安めですが、買取を拒んだり、二束三文に叩いたりはしない誠実な店です。

 物が物だけに、プロ機材専門の業者も紹介しておきました。ただし、価格交渉するには、ある程度の知識がないと足元を見られます。
 残念ながら、売却を依頼された店主は、中古カメラの相場には精通していませんでした。ハッセルのCレンズとFレンズの区別もよくわからないみたいです。

 百戦錬磨の中古業者にとっては、格好の餌食です。一見の先へ話を持っていくのは避けたほうが無難でしょう。
 案の定、欲を出して別の中古屋に持ち込んだら、二束三文の査定だったそうです。私が紹介した中古専門店の見積金額の数分の一だったとか・・・
 その店では1品も売らずに退散してきたと言ってました。逃げるが勝ちです。

 少しでも高く売りたい気持ちはわかるけど、相場感覚と商品知識なしで、その道のプロと勝負しようというのは、無謀というものです。

2009/11/14(土)懐かしのプロ機材

 「プロ機材ガイド」を見ていると、当時の隆盛が偲ばれます。雑誌「コマーシャルフォト」の1977年1月号別冊です。
 表紙は、Leica M5とR3 ELECTRONICのイメージ写真、裏表紙は大判フジノンの広告です。銀塩写真全盛のころの写真機材が網羅されていて、懐かしいですね。

 巻頭では、杉本直也・木村恵一・加藤春生の3氏が登場して、「プロ機材とは何だろう」というテーマで対談しています。
 もともと何がプロ機材か?という基準はなく、「たまたまプロが使っているからプロ機材だ」という意見です。アマチュア用のものしかなくて、仕方なしに使っていても「プロ機材」になる・・ということです。

 普通の本屋で売っている雑誌だから、購読者はプロよりもアマチュアのほうが多かったと思います。現に私の本棚にあるくらいです。
 キヤノンの一眼レフは、F-1だけでなく、AE-1まで載っています。PENTAX MEなんかも・・・ さすがにコンパクトカメラは出てきませんが・・・

 カメラや写真用品は工業生産品です。プロだけのために作っていたのではコスト高になります。アマチュアも購入する前提でないと、製品として成り立ちません。
 昔、大御所の写真家がメーカーに、100万円出してもいいからと、特別仕様のカメラを作ってくれるよう頼んだ・・という話を聞きました。頼まれたほうは、100万円程度のお金をもらったくらいでは採算が合わない・・と こぼしていたそうです。

 プロ仕様といっても、普通は量産品の中から精度が高いものを選んで提供するくらいのことです。報道関係者とアマチュアとでは、モータードライブのモーター音が違う・・ということはありましたが・・・
 南極観測用などでは、修理室で油を抜くサービスをしているメーカーがあります。極寒の地だと、油が固まって作動しなくなることがあるからです。
 どんなカメラでも、油抜きしたものは「プロ機材」でしょうね。

2009/11/13(金)ジナー社の社長講演

 輸入品には縁の薄かった写真人生でしたが、運よくゲットした機材もあります。Sinar P 4x5とDurst DA900です。ダーストの引伸機は手放したけど、ジナーはまだ手元に置いてあります。

 30年ほど前には、どちらもPENTAXの発売元・旭光学商事の特機部が扱っていました。当時は、ストロボのブロンカラーも旭光学の扱いでした。
 ジナー社の社長がスイスから来るというので誘いが掛かり、講演を聴きに行ったことがあります。通訳を挟んでの講演でした。

 話の内容は、ビューカメラの仕組とアオリです。いかにジナーのシステムが考え抜かれているか、熱弁を振るっていました。いかにも技術者といった、理路整然とした話しぶりでした。
 とくにSinar Pのベースアオリには力が入っていました。トヨビューをはじめ、当時の多くのビューカメラはセンターアオリです。ティルトしたときに焦点移動するため、操作が最低でも2回以上必要でした。コツをつかめばベースアオリなら1~2回の操作でアオれます。

 ジナーは、旧タイプのSinar Sからパーツが共通で使えます。Sinar Pのフロントフレームを簡易型にすればSinar C、リアフレームも簡易型にすればSinar Fとなります。普及機のFからスタートしても、一部のパーツを買い足すだけで、グレードアップできるのが魅力でした。

 のちにPはP2にマイナーチェンジします。4x5から8x10にリアフレームを変更したときに少々無理があったのを、8x10専用のシステムを用意することで不便を解消しています。
 一般的には、シルバーボディーがブラックボディーに変わって、映り込みしにくくなった程度に考えられているようです。(Sinar Pでも限定記念モデルにはブラックボディーのものがあります)

 Sinar Pを手に入れたのは、P2発売以降です。カメラ愛好家が所有していたもので、ほとんど新品の状態でした。ジナーのコッホ社長から、アオリの伝授を仰いだ縁でしょうか?
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