2009/11/12(木)Plaubel(プラウベル)の話

 30年以上前の「プロ機材ガイド」を見ていたら、気になるカメラが載っていました。マキネッテ6x7です。1976年のフォトキナで発表・・となっています。
 名前から類推されるように、プラウベル社マキナ6.5x9cmの後継機です。(写真用品の「マイネッテ」を想いうかべた人はハズレです)

 Plaubelはドイツの名門で、1975年に日本のドイ・インターナショナルが買収しました。「カメラのドイ」グループです。
 マキネッテ6x7は、ドイツ側の設計だったみたいですが、土居社長が気に入らなかったとかで発売されませんでした。2年後のフォトキナに発表されたマキナ6x7は、当時の小西六(のちのコニカ)に設計させたそうで、翌年発売されています。

 レンズはニッコール80mm F2.8を採用しました。カメラ本体とレンズは日本製で、ブランドだけがPlaubelです。日本製のカメラは優秀だし、ニッコールの知名度は国内では群を抜いていました。
 カメラ本体の製造を委託していたマミヤが経営不振となり、マキナ6x7は短命で終わります。ドイグループのなかでは、プラウベル部門は赤字だったとか・・・

 カメラ愛好家の間でプラウベル・マキナと言えば、このマキナ6x7シリーズを指すようです。前述の「プロ機材ガイド」の広告で、高梨豊が携えていたマキナプロフィアSを想いうかべる人は少ないでしょう。
 広告主はドイ・インタープロフィアとなっていますが、ビューカメラはドイツ製です。プロの間では、精巧で頑丈だが重い・・という評価でした。ジナーやリンホフほどは使われていなかったようです。

 ドイが倒産して、その後どうなったのか調べたら、今でもビューカメラを生産していました。ペコプロフィアZT/NTは、4x5から8x10までラインナップが揃っています。
 実際に使われているのは、ペコプロフィアPL69Dのデジタルシステムのほうだと思います。業務用途のデジタルカメラですね。

プラウベルの現行ビューカメラはアナミ海外のサイトを参照

2009/11/11(水)暗箱カメラへの拘り

 フィールドタイプと違い、ビューカメラは「唯の暗箱」に近い構造です。レンズ側のフレームと、フィルム側のフレームを蛇腹でつないだだけの、いたってシンプルな作りになっています。
 アオリ機能が必要量を満たしていれば、どのカメラを使っても同じようなものだと思うのですが、カメラの機種に拘る人が多いですね。

 構造がシンプルなだけに、操作感や精度がことさら気になるからでしょうか? それ以外の要素は、大きさと重量くらいです。あとは周辺パーツですか・・・

 本棚に、雑誌「コマーシャル・フォト」の別冊で「プロ機材ガイド」というのがあります。1977年1月号増刊となっているから、30年以上前の資料です。
 中をペラペラめくってみると、当時の大判カメラの一覧表が載っていました。価格も出ています。主な機種を較べてみると・・・

【ビューカメラ】
○ リンホフ・カルダンB 4x5in \575,000
○ リンホフ・カルダンL 4x5in \627,000
○ ジナーP 4x5in \548,000
○ ジナーC 4x5in \398,000
○ プラウベル・マキナプロフィアS 4x5in \428,000
○ トヨビューD45M(国産品) \150,000

 輸入品がほとんどで、国産のトヨビューと比べてずいぶん高価なことがわかります。中判一眼レフのPENTAX 6x7が、105mm F2.4レンズ付で、\176,500の時代です。
 それでもプロの多くは、国産のトヨビューではなく、外国製のカメラを使いました。トヨでも十分実用できたはずですが・・・
 撮影の仕事がまだ儲かった時代だったからでしょうか?

 プラウベルの広告には、写真家・高梨豊が起用されています。「古寺巡礼」の土門拳も確かプラウベルでしたね。
 海外ブランドの暗箱カメラは、拘りのあるプロのステータスでした。 

2009/11/10(火)リンホフ・カルダンシリーズ

 待望のジナーSを手に入れて、「酸化セリウム」の先生はご満悦でした。シノゴ判のカメラは、もうこれ以上必要ないはずですが、ナント!もう1台追加していました。リンホフのカルダンLです。

 スイスのジナーとドイツのリンホフは、大判カメラの2大メーカーです。撮影を本業にしている人達にとって、一度は使ってみたい名門ブランドです。
 機能的にはジナーSのほうが使いやすいと言っていたから、Biに未練はないはずですが、寂しかったのかもしれません。テヒニカに続きカルダンBiも手放して、リンホフのカメラが手元に1台もなくなったのが、寂しさの原因のようです。

 大判カメラの中古相場は急落していて、以前は手が出なかった機種が、驚くほど安く出回っています。価値がわかる人にとっては、思わず買ってしまう・・というか、買わざるを得ない・・という事態です。
 カルダンLは、ネットオークションか何かで、格安で出てたんでしょうね。L字形のアームにフレームが付いた独特の形をしています。日本のホースマンLシリーズの原型です。

 両軸支点よりもベースティルトのほうが使いやすい、とか言っていたから、普段はジナーSを使っているみたいです。使い慣れたカルダンBiに操作性が近いからでしょう。
 プライベートスタジオのカメラスタンドに、載せたままになっているところをみると、カルダンLはどうやら飾りですね。この先生は、大事な機材は使ったら必ず仕舞います。
 話の中でBi(バイ)の名前はよく出てくるけど、Lが話題になることはほとんどありません。昔の「彼女」のほうがよかったみたいです。

 飾りで載せておくだけなら、私のSinar Pにすればタダなのに・・・ 
 でも、ジナーはパーツが新旧共通だから、きっとバラバラにされて、ベースフレーム以外はどれが自分のだかわからなくなりそうです。やっぱりヤメですね。
 角張ったベースで手を怪我するといけないので、角をヤスリで削ったほうがいいとか言っていたし・・・
OK キャンセル 確認 その他