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2008年06月08日の記事

2008/06/08(日)カラー写真の寿命

 写真集の「寿命」が短いという話をしました。退色や劣化ではなくて、存在価値がそれほど長く続かないという意味です。
 若い世代にはいささか人気のない型モノの記念写真は、時間の経過とともにその存在価値が上がっていく性質を持っています。時代を越えて残るのが記念写真です。

 時代を越えて・・というものの、カラー写真が数十年の耐久性を持つようになったのは、まだ最近の話です。子供が結婚適齢期を迎えた親の新婚時代には、耐久性のあるカラー写真はありませんでした。(高耐性のアゾ染料を使ったチバクロームというのもあるにはあるけどね)
 当時の写真は退色して、かなり色褪せているはずです。

 一般庶民がカラー写真を楽しめるようになってから、まだ50年経っていないと思います。団塊の世代が幼少のころは、モノクロ写真がほとんどでした。カラー写真だと思い込んでいたのは、当時の親が大枚はたいて「人着」させたものです。
 「人着」とは、人工着色のことで、モノクロプリントに筆で色をつけたものです。肌の色と草木の緑くらいで、元の色が判断できない部分は、モノクロのままでした。プリント代よりも高くついたようです。

 長期保存をいうなら、モノクロプリントが一番です。もともと色がないので退色の心配がないのは当然ですが、色素ではなく銀で画像を形成しているので、百年以上の耐久性があります。
 江戸時代の写真が残っているので、実証済みです。当時発明されたのがカラー写真だったら、坂本竜馬も近藤勇もどんな風貌の人物だったか不明だったでしょうね。

 ひとは皆流行に流されます。結婚式の写真がモノクロだった世代は、いまでも手元にきちんとした写真が残っているはずです。カラー写真になってからの世代は、残念ながら変退色して無残な状態です。
 数十年の歳月を経て、初めてわかることなので、仕方ないかもしれませんが・・・
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